第19回
ソムリエの実力 その二 抜栓技術
ソムリエの実力についての第二弾。
日本ソムリエ協会の「認定ソムリエ」とその範囲を広げた場合、
彼らの平均的な抜栓技術レベルは
かなり低くなってしまうでしょう。
それは、認定ソムリエの中には、
かなりの割合を占めているキャビン アテンダントの方が
いらっしゃるからです。
彼女らは、フライト中に抜栓するのが仕事ですから、
ほとんど、ソムリエナイフを使っておりません。
スクリュータイプというのでしょうか、
螺旋状のスクリューをコルクに縦貫させて突き破り、
ネジの反動を利用してコルクを引き抜きます。
これはとりわけ技術が必要なものではなく、
若いワインならば誰でもネジが廻せれば、簡単に開けられます。
Fクラスでも原則ワインは皆若いものばかりです。
でも、古めのワインにはこの道具は使えません。
柔らかくボロボロになったコルクは、
スクリューを縦貫させると
破片がワインに落ちてしまうこともありますし、
突き刺す途中で崩れ落ちることもあります。
ソムリエナイフのスクリューで、
微妙な力加減でねじ込んで引き抜くとか、
コルクを切りながらもナイフで破片をかき揚げ、
ワインに入れないようにするテクニックは
経験を積まなければ身につきません。
彼女らが認定試験で一番苦手にしているのは
実はこの二次試験でのソムリエナイフを使った抜栓実技と、
ワインを移しかえるデカンタージュなのです。
デカンタージュも原則、フライト中にはしていません。
キャビン アテンダントだけではありません。
増殖しているフレンチ、イタリアンのソムリエたちも
認定試験に合格しているかは別にして、
普段取り扱っている店のワインが古くなく、
しかも本人たちも古酒を飲み込んでいないので、
ほとんど古酒の抜栓やサービスの経験はありません。
かなりの有名店、グランメゾン級の店でも、
古酒を持ち込んだ場合、
彼等に抜栓を任せるのは危険を伴います。
また、サービスでも、澱を攪拌させてしまうような
無神経な取り扱いをしてしまう場合が多いのです。
ごく限られたソムリエ以外、実は古酒ワインの愛好家の方が
抜栓などがうまい場合が多いのが実態です。
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