自腹ゆえに本音、愛するがゆえに辛口。
友里征耶さんの美味求真

第17回
儲け主義丸見え 麻布かどわき(麻布十番)

先日近所の飲食店で家族と食事をしていたら、
隣の客が店主に話していた次のような会話を耳にしました。
「この間、未だ途中なのに追い出された店がある」。
私は思わず割り込んでしまって、
「失礼ですが、それって『かどわき』ではありませんか」。
ズバリでした。この店では、私以外の客も
バンバン食事途中で急かされて追い出されているようです。

この店は、「稼げるうちに出来るだけ稼ぎまくろう」といった
営業方針をとっています。
予約時、そして入店時にも、時間制限の説明はありません。
でも、客の了解なしに
勝手に次の客の予約時刻を決めてしまいます。
しかも、2時間の余裕も客に与えません。
私達は、19時半予約で数分前に入店。
順調に料理を食べていたのですが、
21時過ぎ、お茶漬けの最中に急に
「次の客が21時半に来るのでそれまでにして欲しい」
と言われました。そこまでなら、ただのよくある儲け主義の店。
嫌な店と諦めてしょうがないですから、了解しました。
でもこの店の攻撃は未だ始まりだったのです。
21時半を見据えてデザートを食べていたら、
21時15分頃「先にチェックしてくれ」とまた言われました。
この二度目の攻撃は相当勘違いした侮辱的な態度なのですけど、
それでもカードで渋々決済。
でもとどめがあったのです。
女性スタッフはお茶を飲んでいた私達のところへ、
我々のコートを二つ持ってきて、
「そろそろですので、コートを玄関へ持っていきます」と
強制退場を迫ってきたのです。
時刻は未だ、21時20分過ぎ。
入店後の後出しでの了解時刻の21時半前より前なのにです。
実は、このカード決済前に次の客が現れたようなのです。
勘定さえ払わせればもう客でも何でもない、
といったところでしょうか。

これだけでも二度といかない店にリストアップするのですが、
まだまだありました、嫌な儲け主義が。
この店は又、定員オーバーを承知で客の予約を取ります。
カウンターは6席が定員。
でも、食事の最中に、どこからか椅子を持ってきて、
詰めろと強要します。
無理やり、3人入店させて、7名カウンターに座らせました。
普通の店ならば、2席しか余っていなければ、3名客は断ります。
目先の3人分の売上げに目がくらんだようです。
「和民」や「天狗」ならその低料金を考えて
我慢するかもしれません。でもここは居酒屋ではありません、
客単価2万円弱の和食を売りにした店なのです。
そして、感心しない料理人の典型でしょうか、芸能人にも甘く、
カウンター席で携帯をバンバンかけまくって煩いのに、
変な気を使ってか一言も注意しません。
店主とは顔馴染みのようでした。
メニューも3コース1万円、1万2千円、1万5千円と
書いてあったのですが、女性スタッフは2種だけ、
1万2千円以上の2コースしかないと言い張って
1万円のコースの注文を受け付けなかったのも不思議でした。
売上げ増狙いが見え見えです。
人間、こうまであからさまに
儲け主義を露に出来るものなのでしょうか。
でも、不思議にフードジャーナリスト達は
今でも良い店だと推薦しているのです。
オーナー料理人の性格が
客に不快感を与えている店の典型的な例を挙げてみました。


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