古くて新しい商売を探せ
職業を見つけたかったら、小さくても将来、成長するような業種がよい。二十五年前にスーパーに勤めていた人は、その中から一兆円産業に成長したスーパーがいくつもあるのだから、今頃はスーパーの大幹部になっているかもしれない。事実、その通りになった人もあるが、大スーパーにはならなかった小型スーパーもあるし、大スーパーにはなったが、自分は大幹部になるチャンスをつかみそこなったという人もある。だから大幹部になれるチャンスがあるといっても、自分にその能力がなかったり、自分にその運のない人はどうしようもないのである。
たとえば、私の友人である映画会社をピンチの時から盛り立てて専務にまで昇進した人があった。誰が見ても次期社長は間違いないと思われていた。ところが、いよいよ社長になる寸前になって病気をして入院をしてしまった。そのために退院した時には、ご本人をとびこえて次の人が社長になっていた。これなどは運というよりほかないであろう。
人生に運不運は必ずつきまとうが、それ以外に能力の問題もある。企業が小さな間は無事、大幹部がつとまった人でも、企業が大きくなって上場企業の水準に達すると、途端に見栄えのしなくなる人がある。だからチャンスを狙うのも大切だが、やはり最終的には自分の器の問題になってくる。そういう意味では、将来の成長産業を狙うといっても、どの企業も大成長をするわけではないし、成長業種に属していても期待通りに成長するとは限らない。成長産業といっても「ほどほどに収入があって、ひどく苦労をさせられない範囲の仕事」と解釈をした方がよさそうだ。
簡単な話が、同じ小売商をやっていても、えらく苦労する割にさっぱり儲からない商売と、あまり努力しないでもお金になる商売とがある。
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