今や平均一世帯の貯蓄額も、五百八十万円(昭和五十五年)もあるようになっている。むろん、その中には保険の掛け金も有価証券も含まれている。実際には、このほかにローンの返済もあり、ローンの返済も、広義における貯蓄の一種だから、一人の人間の扱うお金は、少なくとも桁はもう一つ上とみてよいだろう。一番安い五坪か七坪のワンルーム・マンションでも、千五百万円はするようになったのだから、駈け出しのサラリーマンが家を買おうか、マンションにしようか、という時は、二、三千万円のお金が問題になる。まして、十年前、二十年前にそのくらいの金額を扱ったことのある人が、いま家を引っ越そうか、土地を売ろうか、ということになったら、すぐ億単位の話になってしまう。
「オクだなんて。うちにオクとつくのは、女房だけだよ」
とおっしゃるかもしれないが、家も狭いし、住宅公団や都心のマンションでは、玄関の扉をあけると、すぐキッチンになっていて、奥方のいるところは、目と鼻の先だから、オクサマというのも、名称をかえなければならないのではないか。
私の言わんとするところは、成長経済も二十年すぎてしまうと、利殖塾の小学生は漸減して教室の縮小をしなければならなくなり、高校生、大学生、さらに修士課程、博士課程に突入してしまった。私自身、小学校の教師からスタートしたようなものであるが、いまも小学校で教鞭をとっているわけではない。現に三カ月に一ぺん、邱友会と称して、世のお金儲けのチャンピオンたちを集めてゼミをやっているが、相も変わらずわんさと人が集まる。いくら知識水準が高くなってもこの方の情報は、仕入れを怠っていてはたちまち転落してしまうのである。
今や利殖の発想も高層化の時代だから、上へあがればあがるほど眺望はよくなり、遠くが見えるようになってきたのである。

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