やってみないと面白いかどうかわからない
よく「仕事が私の恋人です」という人がある。「仕事が私の道楽です」という人もある。このことは、世間の大部分の人たちが仕事と趣味を区別して、しかも双方をうまく同時に両立させていることを物語っている。
祝祭日ごとにゴルフに行く人、外国へ旅行したら必ずオペラをききに行ったり、美術館めぐりをする人。ストラディヴァリのバイオリンを蒐集していたり、肉筆浮世絵のコレクションにうつつをぬかしている人等々、趣味に生きている人は多いが、これらの人々は趣味とは別に、本職を持っており、本職と趣味を巧みに両立させている。「仕事が私の道楽です」という人は、たまたま仕事のほかに道楽のない人であるか、仕事に熱中するあまり、ほかの道楽に手がまわりかねている人であるが、それだからといって、他に趣味や道楽を持った人は仕事に熱心でないとか、集中力が分散されているとかということはない。
世の中には、仕事に情熱を傾ける人と、全く情熱を持たない人の、二種類があるだけで、その差は好きな仕事に従事しているかいないかであろう。もし好きな仕事に従事しているなら、恋人と一緒にいるようなものだから、時間のたつのはすぐ忘れてしまう。いまでも「気がついたら、もう朝になっていた」といった仕事ぶりの人を時々見かけるが、こういう人は時間の使い方の上手な人であるといってよいであろう。 |
