時間を充実させるには好きな仕事を探せ 仕事を恋人にすればやりくりがうまくなる
長い時間を短くする知恵
どんなに飯の好きな人だって、飯より好きなものが見つかれば、飯はあと回しにする。寝るのが惜しいほどの面白いめにあえば、寝ないで頑張ってしまう。
だから有効な時間の使い方とは、短い時間でできることをさらに短時間でやり遂げるような、「スポーツ競技」のことではなくて、長い時間も短く感ずるような時間の使い方のことである。むろん、それが上手な時間の使い方のすべてではないが、少なくともありあまる時間の使い方の第一課はそこからはじまる。
長い時間を短く感ずるのは、時間を忘れるほど夢中になることがあるからである。夢中になることのなかには、万人共通のものもあれば、個人差の激しいものもある。
しかし、一般に、人を夢中にさせることは楽しいことであり、楽しいことは楽なこと、つまり労働や苦痛を伴わないものが多い。ただし、楽しいといっても「面白くてやがて哀しい」ものもあれば、「成就すれば楽しいが、それまで苦しい」ものもある。また「苦しんでいる間が楽しくて、成就すれば、淡雪の如く消えてなくなってしまう」ものもある。
たとえば、恋愛はそのいずれにもあてはまる。仕事の中には入らないかもしれないが、誰しもが経験することである。恋をしている間は、逢瀬を楽しむ時間はあまりに短いし、また会える日を待つ時間は長すぎる。同じ時間が短く感じられたり、長く感じられたりするのは、好悪の感情が介在しているからである。ゴルフやテニスやマージャンやカメラやペインティングのようなスポーツ、趣味に属する分野は、イギリス人によれば、「気持のよいヒマつぶし」「慰み」「娯楽」「レクリエーション」「気晴らし」のためにやるものであるから、これもまた好きな人にとっては時間のたつのを忘れさせる対象であろう。
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