本を買うのも時間の節約

もちろん、時間を大切にしている人はたくさんいる。本当に忙しくて時間のない人もあるし、残り時間が少なくてあせっている人もある。私などヒマな時代には、新聞や雑誌をめくっていては「読書欄」に、いろいろな新刊本が紹介されているのを見ると、
「あんな記事読んで本を買いに行く人の気が知れない。僕なら自分で本屋に行って店頭でよくたしかめてから買うのに」
と思ったものであった。しかし、最近のように本屋に行くのにも時間を探すほど忙しくなると、ようやく「読書欄」の存在価値を認めるようになり、
「あらかじめ本の内容をある程度、知ったうえで、面白そうな本を短い時間に買い求められるのは助かるなあ」
と思うようになった。といっても、推薦する人が誰であってもよいというわけではない。まず自分がこの人は信頼できるとひそかに思っている人でなければならない。だから、書評欄に書評をしている人の名前も、はっきリと書いてあるのが親切というものだろう。
ついでに申せば、今よりもっと貧しかった時は、途中まで読んで捨ててしまうのはもったいないと思っていたので、本屋の店頭で目次をめくったり、後書きを読んだり、何度も確かめてから、これにしようと決心して本を買った。しかし、いまでは目にとまった本なら少しどうかなと思うものでもとにかく買うことにし、途中まで読んで投げることになっても、無駄遣いをしたなとは後悔しなくなった。本を十冊や二十冊まとめて買っても、酒場に一回行くよりもずっと安上がりだし、さっさと買ったほうが時間の節約にもなるからである。もっとも上下二冊以上になっている本は、なるべく一冊目だけ先に買うように心がけている。ある時、有名なベストセラーズの本を上下巻まとめて買ったところ、一冊目を二十〜三十頁読んだだけで投げ出したことがあった。以来無駄は無駄でも、一頁も読まないで捨てる無駄は繰り返したくないと思うようになったのである。

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