第63回
ベトナムビジネスマン接待は海外で
いまではすっかり親しくなった
ベトナム最大の製鉄会社の若手オーナーのT氏。
彼を最初に紹介してくれたのは、
元アジア鉄鋼連盟会長のマレーシアの大物財界人の華僑L氏です。
実は最初にT氏に会ったのは、
ベトナムではなく、マレーシアのクアラルンプール(KL)でした。
ベトナムのホーチミンで彼に会おうとアポを入れたら
その日はベトナムにおらず、KLに出張しているということで、
私も別件でその日にKLに行くことになっていたので
そこで会うことにしたのです。
こちらからお誘いしたので、
どこのレストランにしようかと頭を悩ませていたら、
彼からお客さんと一緒に食事するので、
そこに来てくれと連絡がありました。
最初に彼が言った言葉は、
「マレーシアのLさんが高橋さんを紹介してくれました。
L氏は、私がビジネスで本当に困ったときに助けてくれた恩人です。
彼への恩は一生忘れません。
高橋さんをLさんだと思って恩返しするつもりでおりますので、
何でも相談してください」
華僑の輪は、本当にすばらしいといつも感じます。
一流の人間は一流の人を紹介してくれます。
華僑は信用の輪でつながっているので、
大物からの紹介だと最初から信用してくれるのです。
彼には、民営化に伴う企業投資、
不動産コンサルティングに伴う一等地の土地の紹介など、
私のビジネスには欠くことのできない
大切なパートナーになっています。
KLで最初に会ったとき、
彼は、7−8名のベトナムのお客さんを連れてきていました。
名刺を交換すると、
証券取引所の大幹部、大手銀行の頭取、大手証券会社の社長など、
ベトナム財界人の大物ばかりです。
T氏は、
「彼らは、ベトナムでは超有名人なんで、
ベトナムの中で接待するととても目立ってしまうんですよ。
ですから、こうして
近い外国のマレーシアに連れてきて接待するんですよ。
こちらでは、誰も知らないですからね」
後でわかったことですが、そのときの大手証券会社の社長は、
実はT氏の実姉だったのです。
ベトナムのトップの人たち、エリートは、
こうして何らかの輪でつながっているんだなと感心したものです。
こうしたエリート達が、
ベトナムではまだまだ存在している利権を分け合って、
富を作っている構図なのですね。
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