第48回
韓国エリートビジネスマンに気に入られた
単純な理由とは?
香港駐在時代、銀行の営業責任者として、
域内(中国、香港、台湾、フィリピン、韓国、日系企業)を
カバーしていました。
韓国の多くの企業も香港に支店や現時法人を出しており、
こうした会社への新規開拓も仕事の一つでした。
前任のときからアタックをかけてもなかなか落とせなかった
韓国の政府系の銀行があり、
何とかせねばと毎週のように
現地法人の副社長をアタックしていました。
あるとき、彼がテニスをやることを知り、
平日の夕方テニス接待を申し出たところ、快諾してくれ、
2対2でダブルスを楽しんだ後、夕食に招待しました。
私はざっくばらんな性格でお酒も大好きなのですが、
彼らは恐ろしいほどの酒豪で、
ビールも大ジョッキでなく、ピッチャーで乾杯させられ。
4-5杯(ビール大瓶で20本相当)は飲まされたでしょうか?
私の同僚は酒が弱く、途中から洗面所に入って出てきません。
もうこれ以上ビールは飲めないからと、
2次会に自宅へ招待しました。
「日本企業からよく接待を受けるが、
彼らはいつも紳士面して最後まで酔わず乱れずで
何を考えているかさっぱりわからない。
高橋さんは酒の飲み方も豪快で楽しいし、
同僚の方はつぶれるまで飲んでくれて、
こんな日本人にあったのは初めてだ!」
と大変な喜びようです。
「日本人に自宅に呼ばれたのも初めてだ!」
と大いに盛り上がり、夜も11時ごろになったころ、
戸棚の酒もすべて飲みつくしていたのですが、
「あの中国のマオタイ酒をのみましょう!」
と勢い込んだのが運のつき、私を除いて全員ダウンしてしまい、
翌朝まで居間でひっくり返っていました。
朝は何の挨拶もせず私の同僚と共に帰ってしまったのですが、
後になって、
「先日は遅くまで自宅にお邪魔して申し訳ありませんでした。
でも大変楽しかった!
これからは公私共に付き合っていきましょう!」
と、念願の取引が叶ったのです。
その後は、仕事を離れた友人として
彼が本社に栄転するまで付き合ったことは、言うまでもありません。
「日本式の紳士的な接待は、アジアでは通用しない」
というのが、教訓でしょうか?
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