第46回
台湾経済界の重鎮と次々人脈を構築できた
簡単な仕掛けとは?
台湾の駐在時代、ベンチャーキャピタルの社長業以外に、
派遣元の銀行の台湾代表として
台湾企業の幹部との人脈を構築する事も重要な仕事の一つでした。
とは言っても、相手は超多忙なビジネスマン。
たかが日本の銀行の一駐在員ですから、
アポを取るのさえ簡単なことではありません。
そんな時、親しくしていた台湾企業の幹部が
ある「すし屋」を紹介してくれたのです。
実はこのおすし屋さん、街の中心にあるのですが、
繁華街というより、高級マンションの1階にあって、
外に看板が出ていない上に一切宣伝していないので、
一見のお客さんは一切来ません。
台湾には、
日本語を使って交流する台湾人の経済界トップの集まりがあって、
そのグループが博多の経済団体と交流しているときに、
博多のおすし屋さんに台北に来てもらって、
台北でもおいしいおすしを食べようという趣旨で、
経済界の人たちがお金を出し合って出来た店です。
ここには、経済界のトップだけでなく、
政府首脳、有名芸能人もたくさん来る店でした。
おいしいものを食べたいのは、万国共通ですからね。
博多から新鮮なネタを運び、博多の店と同じ味を楽しめるとあって、
毎晩にぎわっていました。
唯一つこの店の欠点は、日本酒のまずいこと。
当時台湾では専売公社のような会社が日本酒の輸入を独占しており、
まずい日本酒しか手にはいりません。
極上のネタに、
まずい酒ではどうしようもないだろうということで、
店では日本酒の持ち込み料を取っていませんでした。
そこで私は日本に出張するたびに、
極上の日本酒を台湾に持込み、この店でキープしていました。
一人カウンターですしをつまんでいると、
マスコミでよく見る経済界の大物と
カウンターで並びになることもあり、
私の極上のお酒を薦めると、大変喜んでくれ、
それを契機に知り合いになるチャンスに恵まれることが
多くありました。
普段はアポさえとれない大物と知り合いになり、
彼のつれてくる友人をまた紹介されたりして、
知り合いの輪はみるみる広がり、
ビジネスでも大変役に立ったのを覚えています。
極上の日本酒が日本人の私の背中を押して
営業をサポートしてくれたのかもしれません。
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