第9回
華僑は人と人との繋がり一番大事にする
私が今中国で新しい場所、
新しいビジネスを始めるに当たって一番役に立ったのが、
香港・台湾で培った華僑の人脈でした。
有力な華僑の投資家から紹介された人達は、
中国でも政府の高級幹部であったり、
大手企業の経営者だったりして、
紹介された場合彼らは、初対面であっても、
「大事な友人から紹介された人は最初から友人」
という考えで接してくれますから、
華僑の友人からの紹介がどれだけ助けになったかは
言うまでもありません。
逆に言えば、華僑・中国人と友達になったとしても、
その友達が大物でなければ紹介してくれる人に大物はいませんし、
有力者でなければ有力者は紹介してもらえないのです。
ですから、大事なビジネスの用件で、
華僑・中国人から人を紹介してもらうときは、
まず紹介してくれる人が、ビジネスや政府で
どの程度のレベルにあるかを見極めてからでないと、
役にも立たない人ばかり紹介されて
逆に足かせになることにもなりかねませんから、注意が必要です。
友人を紹介されるということは、
「自分が信頼している友人を紹介するのだから、君も信用して良い。
但し、僕の面子をつぶすようなことは絶対にしないでくれ」
ということです。
紹介された友人も、大事な友人に紹介された私とビジネスをして、
変なことをしたりすると、「大事な友人を騙した」ということで、
友人を裏切ることになりますから、
面子を大事にする華僑としては
絶対におかしなことはしないと考えていいと思います。
もちろん、どの程度の人が紹介してくれるかによって、
その程度は違ってくるかもしれませんが。
この様に華僑は、人脈(血縁、地縁、友人、学友)という
「信用の繋がり」を通して
新たなビジネス・投資の機会を開拓して行くのです。
ですから、人を紹介するということは、
「信用を保証する」という事でもあるわけですから、
逆に安易に人を紹介すると
後からとんでもないことにもなりかねません。
一度でも信用を失うと、その人脈の輪の中では
よほどのことがない限り
信用を回復することが出来なくなるからです。
私の会社のパートナーは上海人で、
最近北京・広州と一緒に出張する機会が多く、
ビジネスの開拓を一緒にしているのですが、
現地で彼が頼りにしているのはやはり、上海人の人脈です。
上海人は商売に長けており、
中国全土でビジネスに成功している人がいますから、
こうした人脈から現地の人を紹介してもらって
仕事を進めていくのです。
最近、中国でよく耳にするのが、「清華人」という言葉です。
「清華人」とは、北京の理科系総合大学である
清華大学を卒業した同窓生という意味です。
清華大学は、日本で言えば東京大学のようなもので、
中国の共産党書記長「胡錦濤」氏を代表に
中国の政財界のトップ・幹部に人材を大量に供給しており、
彼らは、「清華人」(同窓生)として、強い繋がりを持ち、
お互いに助け合い・情報を交換し合っているとさえ言われています。
知り合いの華僑の中にも、清華大学の学位・修士・博士を
わざわざとった人間が何人もいますが、周りから見るよりも、
はるかに強力な人脈作りに役立っているようです。
中国・華僑社会では、まず最初に自分を信用してくれる
有力な華僑・中国人の友人を持つこと。
これが、成功への最初のステップだと言えるでしょう。
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