上海、深セン市場のオープン当初から
ずっと中国株にかかわってきた人の物の見方です

第69回
新世界中国地産 (香港メインボード 0917)
(ニューワールド・チャイナ・ランド)

同社は21日、株主割当増資を発表しました。
既存株2株に対して、3株の新株割当てです。
これは、株主に対して
中間時価発行増資のようなもので、
1株につき割当て価格
2.8香港ドルを払い込めば
持株の1.5倍の株式を
取得できるというものです。
株価2.8香港ドルと言えば
前日の終値4.0香港ドルから
30%のディスカウントです。

既存の株主から言えば
時価より30%も安い株を
購入できるわけですから嬉しい話のようですが、
それはあくまで、株価が4香港ドルを
維持していればの話になります。
実際には増資発表後、同社の株価は大きく下げました。
昨日(2/22)終値で3.3香港ドル
(−0.125香港ドル、−3.64%)です。

それでは何故、
同社株が売られ株価が下がるのか?
次に例を挙げてご説明させていただきます。

現在、同社株を25万株保有している
株主がいたとします。
株主割当増資発表後、
25万株を3.6香港ドルで
すぐに売却したとします。
売却代金は、25万株×3.6香港ドルで
90万香港ドルを手にします。
その後、もし、3.1香港ドルで
権利落ち前(3月9日予定)に
10万株を購入すると、
31万香港ドルの買付代金が必要となります。
そして、10万株に対して
15万株の払い込み権利があるわけですから、
15万株×2.8香港ドルは
42万香港ドルが必要です。
こうして10万株の買付代金と
権利分の払い込み代金を合計すると、
売却前と同じ株数、25万株になり、
買付代金合計は73万香港ドルとなります。
先の売却代金が90万香港ドルですから、
差し引き17万香港ドルが浮く (儲け)
ということになります。
(手数料などの費用は、計算していません)

これは同社株を同じ株数を持ち続けるとした場合、
一旦売却してその後、
値下がりするだろうと想定して
買い戻すという考えです。
同社の割当て増資が1.5倍という
(22.5億〜22.9億株)大量な割当て、
そして何よりも払い込み価格が2.8香港ドル、
時価よりも30%ディスカウントされているということが、
株価下落の大きな要因です。
ここで私が、3.1香港ドルで買い戻せば、
という例を挙げたのは、払い込み価格より
約10%上の株価を想定しただけです。

例えば日本では(日本株)、
立会外分売などの時も
常識的には3%〜7%程度のディスカウントです。
私は3.1香港ドル水準なら下げ止まりと予想しています。

同社は今回の割当増資によって
62〜64億香港ドルを調達することになります。
このうち約33億香港ドルが、
グループの負債削減に充当される予定です。

今年に入ってからの順調な同社株の値上がりは、
利食い売りが伴っているとは言え、
中長期的には高く評価されるのではないでしょうか。

注:外国株式の有償増資については
   国内証券取引法の規定により、
   これに応じることができません
   しかし、中国株は有償増資の権利を
   売却することができます。
   詳細は証券会社にお問い合わせください。

当ページは、投資勧誘を目的として作成されたものではありません。
あくまで情報提供を目的としたものであり、一部主観及び意見が含まれている場合もあります。
個別銘柄にかかる最終的な投資判断は、ご自身の判断でなさるようお願いいたします。

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