第30回
中国網通の上場は・・・
第29回でご紹介しました
「中国網通(香港レッドチップ 0506)」が
17日に香港に上場しました。
先にニューヨーク市場へ上場していましたが、
終値は香港ドル換算で
9.71香港ドル、
香港市場の初値は9.4香港ドルでした。
終値では9.25香港ドルと
初値より下がりましたが、
公募価格からは約9%高い水準です。
出足はまずまずだったと思います。
【事業の内容】
同社の主な事業エリアは北部地域です。
前回も述べましたが、これに対して
南部地域は「中国電信」のエリアですが、
互いの事業エリアへの参入は
自由となっています。
但し、基本的には
「北の中国網通、南の中国電信」を保っています。
また、今年9月にかけて、
上場に向けた再編や事業移管が行われた結果、
現在、上場会社の事業エリアは
河北省、河南省、山東省、遼寧省、北京市
(以上北部地域:その他は親会社が管理、運営)
上海市、広東省になっています。
主な事業は、固定電話、
プロードバンド接続サービス、
小霊通(中国版PHS)事業等です。
中でも成長性が高い事業分野は
PHS事業とブロードバンド事業です。
売上高構成比率では2つ合わせても
10%強しかありませんが、
2004年上期の連結業績は
この2つの分野で11.8%増収
14.1%の増益となっています。
この2つの分野の伸びが
今後の同社の収益拡大の鍵になると思います。
今回の上場により調達した資金は
通信インフラの建設や
データ通信・IP電話サービス等
アプリケーションサービス開発に充てる方針です。
同社の特徴として
配当性向の高さをあげることができると思います。
「初装費(電話加入料)」
控除後純利益の35%〜40%相当額を
配当に充てる方針です。
初装費は2001年7月に利用者から
徴収制度は廃止されましたが、
残高を今後数年間に渡り、
繰延収益として売上高に
計上することになっています。
もちろんリスク要因もいくつか考えられます。
その1つ目は、
第三世代携帯電話の商業利用が
PHS事業に不利な影響を与える可能性があります。
2つ目は通信事業に対しての
政府の影響力がまだ大きいことです。
今月1日、新聞等に通信大手3社の
トップ交代を三角スライド人事として
発表していました。
中国電信、中国移動、
中国聯通の3社のトップが
行政主導の三角スライド人事により
交代したということです。
上記のようなリスク要因もありますが、
通信分野は現代社会では
必要不可欠の分野です。
PERも8倍前後の同社は
まだ十分に投資妙味があると思います。
もし、株価が9香港ドルそこそこまで
下げるようであれば、
チャンスではないでしょうか。 |