第117回
<とぴっく10>
長者番付6位の人は…その人は蒋介石に似ていた
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スコータイ鉄絵魚文皿
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彼は金持ちみたいだからプライスはパス、
次に文化財の持ち出しや、ややこしい手続きなんかも
誰かがやるからパス、
偽物かどうかと言うことも
自分が気に入っているから、大して気にもしていないだろう。
そんな風に消去していけば
彼がどうだろうといったのは
単に見知らぬ土地で出会った同国人の僕に
「いいですね」と相槌だけを求めたのかもしれない。
ちょっと意地悪したくなって
「値段ですか、クオリティですか?」ともう一度聞いた。
「まあ、そんなところだね」
と彼はわけのわからんことを言った。
「この5点のうち右から3点はよいものです。
2点は割れたものを直しています」
と僕は正確なアドバイスをした。
「この店ははじめ倍から3倍に吹っかけますから
言い値の30%くらいで交渉するといいですよ」
と付け加えた。
「ホホウ、3倍も言うのか」
と、うれしそうに笑った。
彼の顔は蒋介石に似ていた。
「君。飯でも一緒にどうかね」と誘われたが
何しろ僕は、1分400円で動いている。
彼の買い物につき合わされ、
もう1時間ばかりつぶれてしまっている。
昼飯など食っているとロスはもっと多くなる。
それで誘いを断った。
秘書はびっくりしたみたいだったけれど
言い出した本人はけろっとして
「そうかね」といって解放してくれた。
中2日置いて女店主の店に戻った。
彼女が座っている机の上のガラスの下に
1枚の名刺が挟んであった。
某有名健康食品会社会長のものだった。
この人は良くチラシ広告に自分の顔写真を載せる。
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