第91回
商品学(ネパール編)
経典カバー―買っていいもの、悪いもの
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14世紀 チベット経典カバー
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始めてネパールを訪れた30年前、
カトマンズには珍しい骨董品がたくさんあった。
信じられないものもあって、
すごいカルチャーショックを受けた。
人間の頭蓋骨二つを頂上部分で繋ぎ、
皮を張ってデンデン太鼓にしたもの。
大腿骨に穴を開けて作ったラッパもあった。
恐ろしいことに髏に漆を施し金箔を置いた碗まであって、
それらが店先に山のように積んであった。
僕はその時これこそ究極の売り物ではないかと思った。
横を通り抜ける時、触れないようにすり抜けた事を
今でも覚えている。
それ以後幾度かカトマンズには行ったが、
昨今では当時ほど店先に並べられていないところを見ると
少しずつではあるが売れてしまっているのだろう。
恐ろしいことだ。
その時は友人と二人で行ったのだが、
彼は何事にもこだわらないタイプだった。
僕がとめるのも聞かず頭蓋骨のデンデン太鼓と髑髏の 、
人骨のどこかの部位で作った数珠を購入してしまった。
彼は持って帰ってしばらく家のどこかに飾っていたのだが、
だんだん憂鬱になったのか、
ある日僕に「あれ譲ろうか?」と聞いてきた。
僕は即座に強く断った。
このコラムを読んでいただいている方には
分かっていただけるかと思うが、
私は厳しい取引はするが、やさしい面もあると自負している。
かわいそうな立場の人や犬猫牛などにはう〜んと同情する。
骨董品にしても墓碑や明らかに骨壷のようなものは
取り扱わないようにしている。
(次回に続く・・・・)
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