「骨董ハンター南方見聞録」の島津法樹さんの
道楽と趣味をかねた骨董蒐集の手のうち

第87回
商品学(ミャンマー編)
不思議な緑絵の皿−首長族も金持ちに

15世紀 緑絵

1970年、一通の手紙が僕のところに着いた。
差出人はタイのシ・サッチャナライに住んでいる
チャロンからだった。
彼はその頃、堀屋の親方をやっていた。
この人とのエピソードについては、
もっと詳しく面白い話が
講談社の拙著「骨董ハンター南方見聞録」に書いてあるので
是非読んでください。

チャロンさんが大事そうに抱えてきた緑絵大皿は
タイ・ミャンマーを分ける、
詳しい地図も無い国境地帯から出土していた。
そこは山岳民族が住むところで、
首長族がたくさん暮らしている。

話はそれるが、彼らを幾人か日本へ呼んで
デモンストレーションしてもらうと
結構良いエンターテイメントになるんじゃないだろうか。

緑絵の皿は彼らがトウモロコシや陸稲を栽培する為
山を焼いて耕している時、偶然発見したのだ。
同時に中国やタイの陶磁も見つかった。
それを外の世界の僕が最初に買ったのだ。
30年にわたり骨董ビジネスにかかわっているが
図録にも、世界のどこの美術館にも置いていない大皿だったので、
はじめはその価値がよく分からなかった。

しかし、調べてみると、
タイの国立博物館に1点と
拙著「東南アジアの古陶磁」(創樹社美術出版)に
同種の小壷が収録されていることがわかった。
これらはタイ北部の寺院跡から出土したものだ。
これはいけると骨董屋のカンがぴんと働いた。

次回に続く…


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