第80回
家族揃って夕食が取れる国
前回触れた『世界の中学生』シリーズの
『フランスの中学生』編の「はじめに」の中に
「たいていの家族は、父親の帰りを待っていっしょに食事をします。
外での買い食いや外食は一般的ではありません。」
とあります。
日本ではなかなか信じられないかもしれませんが、本当です。
向かいのエレンの御主人は昼食に一度戻り、
夕方は18時半ぐらいに帰ってきます。
オリヴィエも昼に一度戻ったり戻らなかったりですが、
夜はだいたい18時半から19時過ぎに帰宅します。
夕食は当然彼が帰ってからです。
これが子供のいる30代から40代(我が家は50代ですが)の
一般家庭の生活形態です。
パリ近郊だと
通勤に1時間から1時間半かかる場合もあるようですが、
普通仕事は遅くとも18時には終わります。
パリ20区内に住んでいれば通勤時間はそれほどかかりません。
つまりどこの家庭も家族で夕食を囲むのが普通だということです。
これは週35時間労働(第54回参照)とは関係のないことです。
以前から日本の一般会社員と比べて残業がほぼないこと。
通勤時間が2時間というのも例外でしょう。
仕事帰りに同僚と飲むことも考えられないし…
バーの立ち飲みでワイン一杯ほどの息抜きはあるかもしれませんが、
基本は即家路です。
働く女性たちも同様です。
仕事が終わればみんな家路を急ぎます。
いや、もっと忙しい人だっているでしょう。
そうです。
フランスにだって超忙しいお父さん、お母さんも大勢います。
そういう人達は普段できないことを、
十分取れる休暇(最長1ヶ月ぐらい)を最大活用するわけです。
フランスの長いバカンスは、
働く人が休むというより
その家族のためにあるというべきかもしれません。
家族で囲む食卓は有益なコミュニケーションの場となります。
両親は子供に自分たちの仕事の話しもするし、
子供は自分の友達や学校の様子を話したりします。
また年齢にもよりますが、
小学校高学年になれば
社会的な話題を取りあげることも少なくありません。
我が家もそうです。
この時は私たちだけでなく、息子を交えた会話になります。
ただ大切な会話の合間に、
もっと野菜を食べなさい。
きれいに食べろ。
そんな風にフォークを持つんじゃない…
などなど、実にかしましい食事ではありますが。
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