パリだけがフランスではありません

第74回
ストとデモは「パリの花」

「火事と喧嘩は江戸の花」という言葉がありますね。
いかにも気風の良い江戸の風情が香るようですが、
名物という意味であれば「ストとデモはパリの花」です。

ストライキはパリのみに留まらず、フランス全体といえますが、
デモ(フランス語ではマニフェスタシオンmanifestation。
感情や意思の表明という意味ですが、
デモ、つまり示威行進の意にも用います)は
中央政府のあるパリがいちばん多いでしょう。

私はしばらくパリへ行ってなかったので、
この名物が引き起こす事態をすっかり忘れていました。

パリ・リヨン駅に到着し、
パリ・モンパルナス駅でヴァンヌへ帰るTGVに乗るまで
3時間の余裕がありました。
同行の友人と昼食後、14時過ぎにそれぞれの目的地へと別れました。

タクシーに乗ったのは14時15分。
どんなに時間がかかっても30分以内で着く距離です。
運転手はモンパルナスからの出発時刻(15時05分でした)を
私に確認し「時間は十分あるね」といって発進しました。

ほぼ目の前にモンパルナスタワーが見えた時です。
急に車が動かなくなりました。
前では大きな観光バスが立ち往生。
運転手は素早く警官が道を遮断しているのを見て道を変えました。

ところがどこへ行ってもこの繰り返し。
どうしても目の前のモンパルナス駅に行かれない!
40分以上パリを右往左往する羽目になったのです。
もちろん運転手は何度目かの通行止めに
警官にどこが止められているかを聞きました。
でもそれは何の足しにもなりませんでした。

なぜでしょう。
4つも別々のデモが14時から18時頃まであったからです。
土曜日の午後のこと。
そのうちの1つはゲイの人たちのデモ
(これは迎えに来た主人に聞きました)だったそうです。
つまりパリの真ん中を車で行くのは不可能に近い状態だったのです。

ただ不思議な事に、
そういう情報をきちんと把握している人もいるけど、
プロでもまったく知らない人もいるという点。
観光バスの運転手も止められて「エッ?!」という状態でした。
東京で突然こんな目に会ったら大騒動でしょうね。

駅に着いたのは乗る予定のTGVが出発した5分後。
これがまたフランスならではなのですが、
チケットの販売窓口に行って
「デモでリヨン駅から来るのにタクシーで40分もかかって遅れたの。
次のTGVに変えられるかしら?
(私のチケットは往復割引で
変更が効かないといわれていたのです)」
「ウィ」
「今日は4つもデモがあったんですってね」
「やー、4つしかなかったのかい?」
だって。


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2005年7月6日(水)

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