パリだけがフランスではありません

第42回
国際結婚10年目

いきなり個人的な話しで恐縮ですが、
今日は10回目の結婚記念日になります。
去年、義理の両親は結婚60周年を祝いましたが、
私たちはようやく10年になったに過ぎません。

最近の日本では、結婚するカップルの10組に1組が国際結婚だとか。
つまり「国際結婚」は
珍しいことではなくなってきているのだと思います。

ただ同国人同士でもなかなかままならない結婚生活です。
それが文化(育つ環境、教育、言葉など)の根底が違う者同士が
一緒に暮らそうというのですから、
さらなる努力と妥協が必要なことは想像に難くないでしょう。

忘れもしません。
11年前に彼の両親に結婚することを報告した時、
彼らは「クレイジー」(みんな英語ができたので)、
さらに「長い間には言葉も問題になるだろう。大丈夫?」
と言ったのです。

「クレイジー」は、
定職を持たないオリヴィエの経済状況と諸々からの感想。
ゆえに国際結婚とは関係のない個人的な問題。
しかし言葉は、おそらく文化の違いに基づく
国際結婚一般に通じる難題の一つではないかと実感しています。

出会いからライアテア時代を通し、家族との会話は英語中心でした。
誰にとっても自国語ではないため、
かえって単純な言い方しかできないので
分かりやすい面もあったかもしれません。
それがフランス本国への移動に伴い、
当然子供も含めフランス語中心の生活に変わりました。
そこで一番のハンディを負ったのは、いうまでもなく私です。

特に夫との会話。
互いに気持ちに余裕のある時はいいのですが、
そうでないとちょっとした言葉のやり取りすら
理解するのが面倒になったりします。
私はできるだけ正しい言い方をする努力が億劫になり、
彼は私が何を言ってるのかわからないとケンカになります。

ただ、それでもなんとかここまで来られ、
この先も子供抜き(いずれは巣立って行くわけですから)で
どんな風に生活を楽しもうかと話し合えるのは、
互いの価値観に共通点が多いからだろうと私たちは理解しています。

ある時、彼がこんな事を言いました。
「君に何かを説明するのは言葉の問題で難しいけど
分かってもらえる。でも友達だと説明するのは簡単だけど、
言わんとすることをわかってもらうのが難しい。」
まあ、もともとこの一致がなかったら、
そもそも一緒に暮らす事にはならなかったでしょう。


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2005年4月22日(金)

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