第225回
退職金の使われ方を心配した『人生後半のための経済設計』
『人生後半のための経済設計』
(原題「年をとらない法」)には、
定年を迎え退職金をもらった人に向かって、
「退職金を元手にして高利貸しをやるようなことは
ゆめゆめ考えるな」と厳しく警告しているところがあります。
「年をとらない法」を発表した昭和42年頃には、
そうした人が多かったのだろうかと思ったりします。
また退職金の支払われ方もだんだん変わってきています。
しかし、人間には貪欲と云う欲望がすみ、
ときにはそれが暴走する可能性がありますので
邱さんのこのアドバイスは今後とも有用だと思います。
「企業側として定年退職者の将来に対して
不安を感ずることがあるとすれば、
それは『定年退職金が充分かどうか』
ということよりは、
『持ったことのない大金を持って、
間違いを起こしたりしないだろうか』
『うっかり人にだまされて
有り金残らず巻き上げられたりしないだろうか』
ということであろう。
私は『人生後半のための経済設計』の中で、
くりかえし退職金を元手にして
高利貸しをやるようなことは
ゆめゆめ考えるな、と警告している。
お金を持ちつけたことのない人が大金を手にすると、
急に気が大きくなったり、むらむらと貪欲になったりする。
豊田商事や投資ジャーナルにひっかかって
全財産を失うような人は、大抵、欲の皮を突っ張らせて
前後の見境をなくしてしまった人々である。
退職金をもらって定年退職した人たちが、
そういう目にあう人を見るのは、
せっかく、退職金を払った側からみても、
『見ていられないこと』であるから、
退職金の払い方も、『全額一時支払い』『年金支払い』
『両者を組み合わせた支払い』の三つに分け、
本人の自由選択に任せられるところが多くなった。
自分で利殖や投資の道に全く通じず、
お金を失ってしまうおそれのある人は
おそらく年金のような形で
毎月何がしかのお金をもらうほうが安全であろう。」
(「企業から見た定年はどう変わる」
『若気の至りも40迄』に収録)」
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