Qさんの本を読むのが何よりスキ
という戸田敦也さんがQライブラリーのガイド役をつとめます

第218回
『奔放なる発想』の予想と少し違ったところもあります

邱さんが昭和60年に『WILL』誌に発表した
「ドル安に賭ける人の利殖学」の引用を続けます。
邱さんは『奔放なる発想』で予測したとおりの流れに
なっていることを明らかにするとともに、
日本企業がアメリカに進出する場所は
自分が予想した場所と
少し違った場所になっていると書いています。

「あれから4年がたった。4年たってみると、
基本的な流れは益々激しくなっているが、
細部にわたって予期しなかったような出入りも生じている。
たとえば、私は1985年度に日米間のインバランスは
250億ドルに達するだろうといったが、予想より一年早く、
しかも予想をオーバーする331億ドルに達してしまった。
アメリカ側は370億ドルと発表しているが、
これは運賃や保険料などの諸掛かりを含んだ数字である。

また為替レートはインバランスを是正する能力がないと言ったが、
能力がないどころか、猛烈な赤字にかかわらず、
ドルは逆に高水準を維持してきた。
為替レートは貿易収支のバランスを求めて
変動するという常識はものの見事に裏切られ、
国際収支の大赤字があっても資金の大変動があれば、
相殺効果を発揮して、一時的にもせよ、
それを無効にするものであることを立証している。

さらにもう一つ、私は日本の現地企業は
カリフォルニア州に集中するだろうと予想していたが、
カリフォルニア州がユニタリ・タックスに固執して、
なかなかその撤廃にふみきろうとしない。
ご存知の通り、ユニタリ・タックスとは
外国企業がその土地でつくった支店や
子会社が赤字になっても、親会社が儲かっておれば、
親会社を基準にして税金をとろうという制度である。
多国籍企業の人為的な脱税を防ぐ目的でつくられたが、
あまりに実情にあわないので、新しく進出する日本企業は
カリフォルニア州を素通りして、サンベルトの他の州、
たとえば、テキサス州とか、ジョージア州とか、
南北カロライナ州とかいったところに目をつけるようになった。

これらの州が日本企業の誘致のため、
わざわざ東京に事務所を設けたり、
誘致企業に税金の免税をしたり、最高1千万ドルまでだが、
金利6.5%の州政府資金を提供するなどの優遇策、
奨励策をとっていることは周知の事実である」
(「ドル安に賭ける人の利殖学」『若気の至りも四十迄』に収録)


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2003年4月2日(水)

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