第203回
資産家への道のガイド役をつとめた『借金学入門』
『借金学入門』が出版されたのは昭和43年のことですが、
それから15年たった昭和58年に、Qブックスの一冊として
『新・借金学入門』が出版されました。
『借金学入門』はそれまで、28版を重ねていました。
「私がこの本(『借金学入門』)を書いた
昭和40年代のはじめには、
住宅ローンも今日ほど普及していなかった。
個人が銀行に行って借金を申し込むといった風潮は
ほとんどなかった。
善良なる市民にとって借金は精神的な重荷であり、
できうべくんば、借金なしの家計ですませたい
と思う人が多かった。
それに対して私はインフレの続く限り、
お金が貯まったら、
あとは借金して不動産を手に入れることを盛んにすすめた。
不動産を手に入れておいてから
ゆっくり借金を返すことにすれば、
不動産が値上がりする一方で、
借金はインフレで目減りするから、
20年で返すつもりの借金は10年くらいで、
15年で返済するつもりの借金は7、8年で完済してしまえる、
と私は言ったのである。
私のアドバイスを率直に受け入れ、
借金でマイホームを入手したり、
事業用資産を手に入れた人たちは
今日、ひとかどの資産家になっているはずである。
いまになって見れば、常識化してしまったが、
こうしたリクツを展開したのが『借金学入門』であり、
借金するためには銀行からどうやってお金を借りたらよいか、
またお金を借りるためには、
どうやって銀行に信用してもらったらよいか、
を叙述したのが私の『銀行と付き合う法』であった。
この二冊が、いつとはなしに、
私の経済・利殖に関する代表作みたいになってしまった。」
(『新・借金学入門』まえがき)
『新・借金学入門』には『借金学入門』の各作品が
転載されていますが、それぞれの作品について
邱さんは昭和58年の時点での評価と解説を加えています。
このへんにも、読者にいま直近の鮮度の高い考え方を
提供しようとする邱さんの執筆姿勢が表れています。
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