第140回
社長たちから習得したいことを書いた『社長学入門』
日本実業出版社の「経営者会報」に頼まれ
昭和47、48年にわたって
「経営者の交際術」というタイトルで連載されたものが
昭和49年1月に『社長学入門』と題して出版されたものです。
「お知恵拝借」でも書いたことですが、
この本のネーミングについて
邱さんと出版社の間で意見が食い違い、
邱さんの意見を容れて『社長学入門』として世に出したところ、
33版を重ねるベスト・セラー作品となったのです。
のちに、この作品もQブックス・シリーズの一冊として
昭和57年に日本経済新聞社から再販されていますが、
その再販の際の「まえがき」で、
邱さんは次のように書いています。
「『社長学入門』は20章に分かれていて、
言ってみれば『社長二十戒』みたいな内容になっている。
したがって、交際といっても、同じ会社に働く社員から
仕入先、得意先、株主、バーや料亭のおかみまで、
およそ顔をつきあわせるすべての人々まで及んでいる。
私自身、必ずしも『交際上手』ではなく、どちらかと言えば、
人とつきあうのは好きな方ではないから、
交際術の先生としては適切でない。
ただ実業の世界は、『交際上手』で出世できるものでなくて、
実力が物をいう。(略)
したがって、実力を養うのが一番で、
どんな心掛けで人とつきあうかなどということは、
その過程において自然に覚えるものであろう。
どちらかといえば、私の知っている成功した実業家たちは、
『交際上手』でのしあがったという人は見当たらず、
大抵は、我流で押しとおしてきた人たちばかりである。
とすれば、処世術などことさら必要なものでないともいえるが、
我流で自分の事業経営を貫いてきた人々が
本能的に対人関係で実行していることがある。
たとえば恩になった人に対する態度、
仕入先やお客に対する態度などは、
ほとんど共通している。
そういった意味では、
この本は私が社長業に従事している人たちの交際術や
処世術について説いているというよりは、
私がそれらの人々を観察して、
その人たちから習い覚えたいと考えていることを
書いたのである。」(Qブックス版『社長学入門』)
実はある人から「君は邱センセイの
『社長学入門』を読むのがいい」とアドバイスされ、
いまこの作品を捜し求めている青年社長がいます。
この本をお持ちで、
もう譲っていいよと思われれている方がおられたら
小生にご一報下さい。
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