第108回
経営者の体験談を中心にした『実例経営教室』
昭和41年11月から昭和43年2月にかけ邱さんは
赤坂のソサイアティ・オブ・アダルト・エデュケーション
(成人教育協会)で中小企業の経営者を集めて
経営講座を開きました。
経営講座というと経営学ゼミのようなものを想像しますが
邱さんは机の上の学問より体験談の方が役に立つという
考えの持ち主です。
「マーケティングとか人事管理といったテーマは、
専門の本を読まされるだけで
私自身が眠くなってしまう方だし、
そういう講義が役にたつとも思えない。
やはり体験談より雄弁なものはない」ということで
毎回、最初に邱さんが30分ほど話をし、
そのあと、ゲスト講師としていろんな会社の社長を迎え、
それらの人に話してもらって、
邱さんと受講者がゲスト講師に質問するという趣向です。
この講座には特長のある経営者を毎回一人招きました。
団地建設で躍進中だった「角栄団地」の角田式美さん、
イヌ屋として活躍していた「東京畜犬」の野田敏さん、
アイビー・ルックを日本に運んだ「バン・ジャケット」の
石津謙介さん、衣料スーパー「キンカ堂」の野萩康雄さん、
サラリーマン金融の代表格「銀座クレジット」の 玉木英治さん、
銀座ハリウッド経営者、「キャバレー太郎」の福富太郎さん
人間ドッグ「セントラル病院」の安藤明子さん、
居酒屋チェーン「鮒忠」の根本忠雄さん、
「ブルーチップ・スタンプ(現ブルーチップ株式会社)」の
佐藤泉明さん、漢方薬ブームの推進者「龍角散」の藤井康男さん、
家庭電器製品の安売り屋「まや商会」の山崎信雄さん
そして月賦の百貨店、
「丸興百貨店(現、株式会社オーエムシーカード)」
の佐藤治郎さんの12名です。
邱さんの講義とこれら社長さんの話を録音にとり、
それを読みやすい文章に直して
中央経済社の『経理実務』に掲載し、
それらをまとめて本にしたのが『実例経営教室』です。
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