Qさんの本を読むのが何よりスキ
という戸田敦也さんがQライブラリーのガイド役をつとめます

第85回
「会社拝見」を連載するなかで"株の神様"になりました

昭和35年の末から邱さんが週刊誌に
成長会社会社を紹介する連載が始まりました。
「俄か仕込みの技術革新に対する知識と、
証券会社の株式部長さんたちからきき出した
好業績のニュースをたよりに、
全国のこれはと思う成長会社の見学に赴き、
それらの会社の話を『会社拝見』と題して週刊誌に連載した」
(「損をしないで株とつきあう法」
『若気の至りも四十迄』に収録)。

「株については新入りだったが、
週刊誌に『会社拝見』の連載をはじめたとき、
『世間の常識に従わないこと』と
『大企業の株より成長株に目をつける』という
二つの鉄則を守り、
ほとんど投資家たちの常識になかった無名の成長株を
毎週一社ずつ紹介した。

その中には三井不動産、千代田化工、オンワード樫山、
リコー、ミツミ電機、栗田工業など
今日、一部上場の中堅がたくさん登場している。
私は自分で会社を選んで、工場見学に行き、
また社長さんから色々と事業計画や抱負をきいた。
私の選び方自身が企業のランクを無視していたが、
私の書いた文章が株式市場にどんな影響を与えるか、
私自身全く計算に入れていなかった。

ところが、当時全く無名だった千代田化工や
佐藤工業をとりあげると、雑誌の発売日に
私のとりあげた株の株価がストップ高をした。
これには私自身がびっくりした。
当時の私はあちこちに書いていたから、
多少は世間に名を知られていたが、
もとより株のエキスパートではない。
作家が株の記事を書いたのでは、
奇異に思われることはあっても、
信用されることはまずないだろう。
そう思っていたが、あにはからんや、
毎週、私の記事が出るたびにストップ高が続くと、
兜町に出入りする投資家たちも黙ってはいない。
『あれが出ると、必ずストップ高になるぞ。
来週どの銘柄を扱うか、早く探り出せ』
それッとばかりに大日本印刷まで出かけて行って
私の文章のゲラ刷りを5万円で買った人もある、
ときかされた。
ということは、私の考え方に共鳴する人が
それだけ多かったということであるが、
改めて『株価を動かすものはお金ではない』
『世の中の変化に対する見方だ』と思うようになった。」
(『金儲け発想の原点』)

そして連載が終わると、一年前にはカブのカの字も知らなかった
邱さんは「株の神様」と祭り上げられるようになりました。


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2002年11月20日(水)

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