雲南「宝の山」ブランドQコーヒーの沿革
邱 永漢

コーヒー豆の原産地はエチオピアのアムハル高原と言うことになっています。
それがアラビアを経て、ヨーロッパへ、
更に全世界に広がって広く愛飲されるようになりました。
いま、アラビカと呼ばれる品種は
全世界のコーヒー生産量の約80%を占めており、
皆さんがお飲みになっているコーヒーは
ほとんどがこの種に属するコーヒーです。

アラビカ種のコーヒーはその名の示す通り
アラビアから16世紀の頃、ヨーロッパに持ち込まれ、
更に南米や中米で広く栽培されて今日に至っています。
アラビカ種の中で一番原種に近いのがティピカです。
コーヒーの栽培に適したジャメイカの高山地帯で作られている
有名なブルーマウンテンもティピカです。
同じ品種のコーヒー豆をフランス人宣教師が雲南省に持ち込み、
それが今私たちが精製・販売している「宝の山」ブランドの
雲南Qコーヒーとして命脈を保つことになったのです。

ティピカの味は抜群ですが、
収穫量が少ないのと、乾燥や霜害ばかりでなく、病虫害にも弱いので、
次第に改良種にとって代わられ、
雲南省の産地でもほとんど幻のコーヒーになりつつあります。
現在、雲南省で最も大量に生産されているのはカチモールですが、
現地では品種別、等級別の仕分けが全くなされていないので、
Qコーヒーではわざわざ日本人の専門家を駐在させて、
ていねいに選別をしております。
飲み比べていただければ、すぐにわかることですが、
アジアを代表するブランドとして育て上げることが私たちの最終目標です。

次にQコーヒーはコーヒー豆の焙煎に画期的な方法を採用しました。
従来の焙煎法は火を使っていますが、
私たちは水蒸気で焙煎する方法に変えました。
火にくべて煎じたコーヒーは二週間すぎると、
だんだん香りが抜けてくるし、豆の酸化もすすみます。
ところが、私たちの方法で焙煎すると、
煎じ上がるまでに空気と接触する機会が少ないせいか、
酸化もうんと遅れるし、香りも長期にわたって保たれます。
すべての焙煎工場は消費地に設置されていますが、
必ずしもその必要がなくなるので、生産者としても助かりますが、
従来の常識を破って保存がききますので、
皆さんのコーヒーに対する常識を変えることになると思います。

将来、十三億の人たちが豊かになって
コーヒーに親しむ時代が必ず来ることを想定して、
私は三年前から雲南省の山の中にまで足繁く乗りこんで
コーヒーの植付けから選別工場の建設までやってきました。
その私が言うのですから、嘘いつわりはございません。
どうせ飲むならたとえ一杯のコーヒーでも
胸がすっきりするような美味しいコーヒーをおすすめ致します。