
| 二十九、宰相夫人佐藤寛子ミニおばさん 歴代宰相のなかで、私が割合に好感をもったのは佐藤栄作さんである。佐藤さんとは、佐藤さんが造船疑獄から政界に返り咲いて第二次岸内閣の大蔵大臣になったとき、新聞社に頼まれてインタビューをしたのが初対面であった。つぎに会ったのは、四国の徳島に向かう水上飛行機の中で隣り合わせに坐ったときだった。日清食品の安藤百福社長が佐藤さんと親交があるときいていたので、「安藤さんと親しいそうですね」ときいたら、「そうなんですよ。しばらく会わないけれど、どうしていますか?」と聞きかえされた。「チキンラーメンというインスタント食品をはじめましてね、うまくいっているようですよ」「そりゃよかった。よろしくいって下さい」そんなとりとめのない話をして別れたが、その晩、徳島の宿に泊ってテレビのスイッチをひねったら、杜会党の浅沼稲次郎委員長が刺客にあって刺されたニュースにぶつかった。 
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