| 私は料理人という仕事に就いて色々なお客様に出会い、大切な「言葉」を沢山頂きました。
 その言葉とは料理の味付けやセンスのことはもちろんですが、
 料理に対する価格、サービス面、店の雰囲気など言い出すとキリがありません。
 そして私がこの仕事に就いて一番良かったな〜と感じたお客様の言葉は、「美味しくて、楽しくて、驚きの料理ですね。
 料理が輝いて活きていました。
 素敵な時間を過ごすことができ有難う御座います。元気が出ました!」
 この言葉を聞いたときは本当に心の底から力が湧き、今までの辛かった事や悔しさなど吹き飛んでいくほど逆に元気を頂きました。
 料理人という職業は人に元気を与えるお手伝いが出来る仕事なのだと。
 そして私自身もお客様から元気を頂ける「言葉」をもらう。
 こんな素晴らしい職業は他に無いと私は思います。
 でもお客様から頂く「言葉」はもちろん良いことだけではありません。料理に対する不満や味付け、料理の出るタイミングやスピード、
 サービスの不出来など沢山ありますが
 それはお客様からのコミュニケーションだと思っています。
 お客様に「不満」な気持ちにさせるのは当然良くない事ですし、
 それが「不安」になるとレストランとしては失格です。
 ですが私はプラス思考に考えて
 「コミュニケーション」ほど有難いものはないと思っています。
 出来ていない事や本人の好みなどを教えてくれているのですから。
 私はレストランの成長はお客様の「言葉」によるものが大きいと感じています。お客様からの「お褒めのお言葉」で従業員全ての士気が上がり、
 反対に「不満や要望」はお客様が与えてくれるチャンスだと。
 無理難題を言うお客様は別として、
 お客様の「なまの声」は良いレストランを創っていく上で欠かせないものということです。
 そこからお客様とレストランの信用と信頼が生まれてくるのではないでしょうか。
 「お客様は神様だ!」と良く聞きましたが、まさにそれは「神の声」だと。
 今の時代新しい事をする上でのアイディアやヒントは自分自身で考えて生まれてくるのは奇跡だと私は思います。
 誰かに何かを言われたり、誰かが何かをしているのを見たりして
 そこから「閃き」があるのではないのでしょうか。
 サービス業の中でも特にレストランではお客様に言われた一言で、お客様が何気なくしている行動から
 何か新しいサービスが生まれてくるのだと私は思うのです。
 そしてお客様の「言葉」や「行動」は私自身料理人としてだけではなく商売をする上で
 「神の声」、「神の仕草」として受け止めています。
 プロ野球選手が子供たちに「夢」を与えるように、オリンピックメダリストが「感動」を与えるように、
 私たち料理人やサービス員も
 お客様に「元気」を与えるお手伝いが出来る「存在」でなければいけない
 と感じる今日この頃です。
 |