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2. 料理人への道

私がイタリアに修行に行く事を決めた理由として、
一、 今まで学んできたイタリア料理は本国イタリアで果たして通用するのかどうか?
二、 日本料理なら日本、中国料理なら中国、イタリア料理ならイタリア、というように
   実際にその国に行き空気を吸い生活して初めて感じ取る何かを得るために。

イタリアへ修行に行く前、私は日本で10年間料理の仕事に携わってきました。
専門料理の知識などはむしろ日本に居た方が勉強でき技術も学べたと思います。
ですが先に書いた2項目は、実際に現地へ行かないと感じえないと判断したからです。
そしてこれがこの先最も重要になるのではないかと決断し実行いたしました。

カンターレ・アモーレ・マンジャーレ(唄う・愛する・食べる)の国と言われているイタリアで
私が受けた印象は、「人生を楽しむ」というテーマを誰もが持っているという事。
好きな仕事をしていてもそれを楽しまなくては駄目だという事。
その為に今何が出来るかという根本的なことを改めて肌で感じました。
そしてイタリア料理とは各地方に根付いた料理の表現でヴァリエーションが豊かである事。
代表的素材である、トマトやオリーブオイルを使わない地方もあります。
「料理とはその土地で取れる素材を活かし、創造し調理する。」
その物事の本質を知ることはとっても重要な事だと教えてもらえたような気がします。

もう一つ印象を挙げるならどこか日本料理に通じるものがあると感じたことです。
それは、素材の持ち味を活かし、季節感を演出していること。
素材の食感や鮮度を味わうとてもシンプルなものが伝統料理であること。
私達日本人にとって抜群に相性の良い料理だということが分かりました。

南北に長く、ブーツがボールを蹴っているように見えるイタリアの面積はほぼ日本と同じ。
気候も春夏秋冬があり、海の幸山の幸が豊富でただ一つ日本と違う事をあげれば、
燦々と照りつける太陽の恵みでしょうか。
ラテンの血統ではない私もついつい唄いだしてしまいそうでした。
社交的で感情の起伏が激しいイタリア人にとって、
この太陽の恵みは無くてはならない存在なのでしょう。
そして、イタリア料理にも欠かせない風土といえます。


2007年3月21日 <<前へ  次へ>>