常駐の農場管理人を探すのは骨が折れます。
もちろん仕事を欲しがる人は産地にも沢山いるのですが、
彼らも結構仕事を選びますし、こちらの要求を理解してくれ、
僕たちが見ていないときもまじめに作業をしてくれる、
安心でき、且つ信頼できる人物を探すのは、まるで宝くじを当てるかのような感じです。
最初に雇った管理人は、
常駐どころかほとんど農場にいることがなく、
あっという間に雑草だらけ、
注意したら勝手に除草剤を使用しようとし、
ちょっと虫が出ただけですぐに農薬に頼ろうとし、
何だかんだ理由をつけては水撒きを怠り、
農場内の熱帯フルーツが
いつの間にか持ち出されてもいました。
僕はさっさと新しい管理人を探すように指示を出したのですが、
誰かの遠戚だとか、他を探すのはもっと大変だとかで、もうしばらく様子を見ることにしました。
ある日、農場の端から端までチェックしていた時の事。
農場の一番奥の山の上のほうの一角がおかしいなと見てみたら、
何と、とうもろこし畑になっていました。
僕たちは、強い日差しからコーヒーの樹を守り地面の保水を長持ちさせるために、
シェードツリー(陰を作る高木)として、コーヒーの樹の間にマンゴーを植えています。
そのマンゴーが植えてあるはずの場所を、とうもろこしが占拠していたので堪りません。
管理人に問い詰めると「没事、没事。(大丈夫、大丈夫。)」とヘラヘラしています。
普段もの静かな僕もこの時ばかりはブチ切れてしまい、
「今すぐこのとうもろこしを全て抜けーーー! 何?抜き方が分からない〜〜?
こうするんだ!!!うぉーーー」
と、皆が見ている前で狂ったようにとうもろこしを抜きまくりました。
まあまあ、もう少しだけ様子を見てみましょう、という超のん気なスタッフを無視し、
すぐに「コーヒー農場の管理なら任せろ」男2・3を探し出し、初代は首にしました。
水道管や肥料が盗まれたり、害虫が発生したりと問題はつきませんでしたが、
まじめにこつこつ作業してくれたおかげで、農場の状態もどんどん良くなってきました。
もしかしたら、くじ運は結構良い方かもしれないですね。
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