トップページ > 雲南コーヒー園物語 > バックナンバー

   金曜日更新
2.邱公館の設立

雲南コーヒーについては、邱先生のコラムでも何度も紹介されてきました。
ここでもう一度、簡単にご紹介いたします。
邱先生と雲南コーヒーとの最初の出会いは2002年ごろと聞いています。

自他共に認める美食家である邱先生が雲南産コーヒーのことを耳にし、2003年の加工シーズンには考察団を引き連れて、市政府とパトカーの誘導のもと20数台のタクシーに分乗して保山市のコーヒー産地の視察に訪れました。
コーヒー豆の素材は良いけれど、加工や衛生面の管理が全くダメ、しかしブルーマウンテンと同じ希少品種がまだ少しだけ生息している、邱先生はこういった点に目を付けられ、
まずは地元の加工場を借りて実験的にコーヒーの加工を始めました。

専門の方に見てもらった結果、なかなか良いコーヒーだとの評価をいただいたため、産地を流れる怒江の急流沿いに、雲南の伝統的な建築様式を再現したコーヒー加工場を建て、2005年より自社加工場での加工・選別を始めています。

雲南省のコーヒーは100年以上前にフランス人宣教師が苗を持ち込んだのが始まりとされていますが、いまでも、アラビカの原種に最も近いティピカ種という希少品種が雲南の一部の産地に僅かですが残存しています。
この品種のコーヒーは、香り高く非常に上品な風味を持ちますが、病虫害に非常に脆く、また隔年収穫で結実が少ないため、農民たちの安定収入につながりません。
雲南の産地でも農民たちはこの品種を積極的に残していこうという意識は全くありません。
実際、栽培が簡単で多収穫の改良品種のコーヒーや、手っ取り早く現金化できるサトウキビなどにどんどん植え替えられています。

雲南のこの素晴らしいコーヒーをここで途絶えさせるわけにはいきません。
僕たちは加工場の近くの土地を借りて、一からティピカ種の苗を育て始めました。

何度も失敗しましたが、すくすく元気に育ってくれたおかげで、今シーズンからやっと収穫できそうです。
(写真:雲南写真家・伊藤真理)


2007年3月23日 <<前へ  次へ>>