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184.農業は誰のもの?

中国のスイカが爆発した!等と
不気味なニュースが時々報道されますが、
諸外国に叩かれっぱなしの中国ではありません。
邱先生がおっしゃられる、次の十年の最大テーマ、
食問題への取り組みがどうなっているのか、
天津の大規模農業を見学するチャンスがありました。

天津に訪れた農地は1300ヘクタールの敷地一面に
ビニール畑や研究所など様々な設備がありました。
様々な野菜、果物、苗、植物が有機農法で育てられており、
なるほど立派なものでした。
農地の人にインタビューする機会があったのですが、
一部の野菜は地域の契約スーパーに卸しているそうですが、
有機野菜は高価なので
大半は贈り物の野菜として消化されるそうです。

農地のジオラマ


イチゴの苗

中国のスーパーで見る有機野菜はとても高くて、
普通の野菜の数倍もする価格です。
料理を作るのに部分的に有機野菜を使うのでは意味がありません。
有機に拘るととことんお金がかかるので、敬遠されがちです。
彼らは大規模農業ですが、
規模のメリットでお安い野菜というよりは、
高い設備投資で育った高付加価値野菜であり、
未だ庶民の野菜ではないという印象でした。

たまたま今回の農園がそうだっただけなのでしょうか?
1年ほど前に、北京で開催された
国際食品安全フォーラムに参加した時、
中国国務院の方の講演を思い出しました。
現在中国は小規模農家が大半で、実力のある大規模農家がいない。
また、農家に利益を落とすことが
食の安全を守る上で重要なことだ。
国をあげてこれらの課題に取り組んでいる、
というような発表でした。

大規模農業をするには、
国内外の安全基準に耐えうる農業技術はもちろんのこと、
地代はいくらか、設備はいくらで手に入るか、
電気代は割引を受けられるかなど、基本的なコストは
中国政府の積極的な援助や優待にかかっているようです。

今回の農地も政府から様々な補助がでているようでした。
政府の実力者の一声が重要条件となるビジネスモデルであれば、
中国では逆に政府に搾取されるようなケースもあるはず。
国務院の方がおっしゃったように、
政府が農家に利益を出せるようにサポートできるかが、
食問題のポイントというのがよく判りました。


2011年7月29日

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