「いつまでここにいるつもりなの?
三全公寓だってタダじゃないんだよ。」
私が、邱永漢グループに入った初日、
北京でぼやぼや滞在していた朝食時に言われた言葉でした。
私が唯一先生に叱られた時でした。
びっくりして、その日に日本に帰りました。
・・・。
邱永漢学校の学生として7年間たくさん学びました。
いつかは来るこの日を覚悟しながら過ごしてきたここ数年ですが、
大好きだったお師匠ゆえに、今は最高に寂しい。
いつも先生の声を聞いていました。
たくさんの言葉が耳に残り、
今では「こんな時にはこんな事を言うだろうな」と、
ほとんどわかるようになりました。
格好つけ屋でダンディズムにこだわり現実主義の先生が、
我々がしんみりしている姿を見たら、間違いなく怒ります。
何て言うかまでわかります。
これから、どうするか。
先生の思想と魂を継承し事業を継続し約束を果たす事。
邱永漢をして、一番難しい業態と言わしめた
レストラン事業を授かった私。
先生の想像を越えた事業体をつくりあげ、約束通り上場すること。
上場にあれほど反対する論調を書いておきながら、
「キム君上場するらしいよ。」
と嬉しそうに触れ回ってくれた先生。
その一方、「上場したら、僕は株主おりるからね。」
と私を試すように厳しい口調で言われても、
私は譲りませんでした。
先生よくわかっています、言わんとすることは。
でも私は、それでも決めたんですから。
「お金儲けの神様」の喜ばせ方わかりますか?
・・・。
「いつまでも日本にいてもしょうがないでしょ。
もう僕いないんだから。」
そんな声が聞こえそうで、日本で先生を見送った後、
誰よりも早く中国に戻り仕事につきました。
先生、ご安心あれ。
いっぱい儲けて報告に行きますから。
「そんなに儲かっちゃったの!?」
笑顔いっぱいで喜んでくれる顔が
私にはもう見えています。
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