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244.せっかく生まれてきたんだから

私はスパルタ教育の家庭に育ちました。

子供の頃一週間に九つも塾に通い、いまでは
どうやってやっていたのか思い出せないぐらいです。

学校の先生が家庭訪問にくれば、うちの父が
「先生、うちのは死なない限り何しても構いませんから。
 骨の一本ぐらい本当に折ってもらっても怒りませんから。」
と言っては先生を困らせていました。

家族でスキーに行けばストックでバシバシに殴られ、
一日30分のピアノのお稽古が嫌でさぼると、
鼻血が出るほど殴られてピアノの鍵盤を赤く汚していました。

そんな私ですから根性だけはつくわけです。(笑)

また自分が努力をしいられてきたものだから、
努力してない人間をみると、これまた腹を立てるという
未熟さを身につけてしまったわけです。

思い起こすと今年はその未熟さが露骨に表に出て
多くの人に怒りの矛先を向けました。

こんなことを書くと笑われるかもしれませんが
「どうして俺は人に優しくできないんだろう?」
というコラムをいつか書こうと真剣に思っていたくらいです。

そこで登場するのが小野親方です。

その日、「いやーなんか腹の立つことが多くて」
という話を冗談っぽく口に出したら、
小野親方がこんな風につぶやいたんです。

「そりゃー皆さん生まれてきたからには褒められたいわな。」

これまた衝撃の走る言葉でした。

赤ん坊をみるとみんな優しい顔で近づいて行き微笑む。

みんなそんな可愛いところからスタートしているのに
ちょっと大きくなっただけで何を俺は怒ってるんだろうか?

そりゃー褒められたいよな、
せっかく生まれてきたんだものね。


2011年12月5日(月)

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