それはふとした言葉でした。
聞いた瞬間ちょっとびっくりしました。
その日、私は次なる会社の成長を支える
ITシステムの説明を受けるために
とある会社のディレクターから
プレゼンテーションを受けていました。
30分も話を聞くと時間が気になりだし、
「時間が気になるということはきっと今日はこんなもんだな。」
と考え始めたところでした。
一通りの話と問答を終えた後に、
ちょっと不器用な彼は少し間をあけて言いました。
「社長。御社は私にとってとても大切なんです。」
「・・・」
下を向いていた私は一瞬動きを止めて彼を見上げました。
びっくりしたのでした。
他人に、
「あなたは私にとって大切なんです。」
といわれることは、思えば多くありません。
一方で自分がそれを言うこともあまりありません。
「この言葉は力があるな。」
その日の説明ついて記憶に残っているのは、
彼には悪いのですが、その言葉だけでした。
私には何人もの大切な人がいます。
ただ、そういう人に大切だよ、
とストレートに伝えたことはほとんどありません。
そう伝えることの意味と影響を想像しながら、
「大切なんですよ。あなたは私にとって。」
と小さな声を出してみるのが精いっぱいでした。
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