どうやら、日本では
悲観論にあふれた経済予測が蔓延しているようです。
先日、知人からいただいた「どうなる2009年?」
という雑誌の特集にも
あふれるほどの悲観論が掲載されていました。
そして、その中には、中国経済が深刻なダメージを受けると。
私は内陸の四川省で暮らしています。
私の商売にいまのところ影響は大きく出ていません。
これが中国全土を代表するとは思いませんが、
今日も街には人があふれています。
さて、中国の経済はどうなのか?
ということを自分の今週のテーマスタディーとして考えてみました。
マクロ経済をおさらいしますと、経済の代表的な指標であるGDPは
「消費(個人+政府)」
「投資」
「貿易収支(輸出―輸入)」
というマンデル・フレミング方程式の1つによってあらわされます。
中国のGDPは今、25兆元です。
そのうち、消費は12兆元強で、約50%です。
貿易収支はおよそ10%。
“中国ダメになる論”の多くは、
アメリカと日本への輸出に大きく依存する
中国経済の実態という・・・という論法ですが、
仮に10%の貿易収支が悪化して、5%になったとします。
単純化すると、去年は100元だったGDPが
今年は95元になるということです。
まあ、確かに少し下がります。
一方、すでに皆さんもご存知のとおり
中国政府は4兆元の内需刺激策を発表しています。
12兆元の内需に4兆元がプラスされると、
比率としては約30%のUPです。
単純化すると、100元のうち消費は50元で、
内需刺激策でこれが67元になる。
一方で貿易が5元下がる。
結論は、100元+17元―5元= 112元で、12%のUPです。
まあ、経済はこんなに単純ではないですが、
中国の内需の大きさを無視した議論というのは
意味が薄いと考えています。
ここまで話すと、
「あれ?日本の内需の寄与率はもっと大きいでしょ。」
という話になると思いますが。
そのとおり、日本のGDPにおける消費の比率は
中国より大きい約60%です。
(ちなみに、アメリカは最近まで70%です)。
その日本の景気が深刻な影響を受けるのはなぜか?
もしくは、GDPのマイナス成長となるのはなぜか?
答えは2つです。
1つは、内需が伸びていないからです。
日本の成熟経済の中では、全体の経済の伸び率が1〜2%程度です。
100円の経済が次の年には、101円にしかならないような経済の中で、
そのうち3円を占める貿易収支が半分になるだけで、
すぐに100円を割り込むのはわかりやすい話です。
ちなみに、中国の12兆円の国内消費は、
2000年当時は半分の6兆円であり、7年間で倍増しているわけです。
2つ目の答えは、円高です。
円は幸か不幸か国際通貨の1つであり、
特に金融市場の影響を大きくうけます。
投機的な動きや、以前邱先生が指摘したように、
過去の多量の円借款が返済時期になると、
留学にいっていた円が、大量に帰国することになり、
これがまた円高プレッシャーを高めます。
すると、輸出企業に大きな打撃となるわけです。
ご存知のとおり、元はまだ、完全な自由化がなされておらず、
中国政府がかなりコントロールできるわけです。
結論として、私は別に中国を盲信しているわけではありませんが、
簡単な頭の整理をするだけで、
中国の経済に急ブレーキがかかるとは思えないわけです。
整理するとポイントは
・中国の経済(GDP)の構成要素でもっとも大きいのは消費であり、
50%を占める
・一方で貿易収支の割合は10%
・日本の消費は60%と高いが、
額そのものがここ数年伸びていないなか
・比較的割合の低い貿易収支への影響が、
GDP全体に与える影響は小さくない
・加えて、日本は円高が経済に与える影響がとても大きい一方、
中国はまだ元の動き幅をコントロールできる
・以上から、中国の経済に急ブレーキがかかることは考えにくい
これでも私、大学院で国際経済を勉強したんです。
焼肉の話ばかり書いているから
信じてもらえなかったりして・・・。(笑)
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