最初に断っておきますが、
「ブランドとは何か」というテーマについては
世界中の経営学者がこのことを研究し、本もたくさんでているくらいですから、
私がこの深いテーマにいきなり答えをだすわけではありません。
あくまで、私が商いをしながら常々考えていることをご紹介できるだけです。
いきなり結論から書きます。私なりに考えると、
「ブランドとは顧客をはじめとし、事業に関わるすべての人との約束ごと」
と、理解しています。
ブランドという時に私がいつもイメージする企業は、車メーカーのボルボです。
ボルボのブランドイメージ、メッセージ、
もしくは顧客との約束事は「世界一安全な車」です。
例えば、極めて私感ですが、
ボルボの車はベンツやBMWと比べると
ラグジュアリー感、スポーティー感において劣っているように感じます。
しかし、それでも特定の顧客はボルボの方がいいわけです。
「ボルボなんて遅いじゃん」 ⇒「でも安全だから・・・」
「なんか概観がスタイリッシュじゃないな。」 ⇒「この形が安全なんです。」
「アクセルがちょっと重くない?」 ⇒「この方が安全です」
「シートがちょっと堅いな。」 ⇒「このシートが一番安全ですから。」
「車体が重くないか?」 ⇒「この方が安全な構造だから。」
つまり何を聞いても答えは"安全だから"という一言に帰着します。
これほど見事に顧客との約束をわかりやすく打ち出し、
そして守っている企業も少ないのでは?と思うぐらい
ボルボのメッセージ(約束)は安定しています。
このようにブランドとは、市場に対する一環したメッセージなのです。
この意味で、ブランドづくりに成功しているのは私のお師匠の邱永漢です。
「金儲けの神様」「株の神様」の名を欲しいままにするこのブランド確立は
もう見事としか言いようが無いと思います。
余談ですが、でも一方でわが師匠は結構誤解されているとも思うのです。
よく人からは
「先生は道楽だね。自分のやりたい事業に次から次へと手を出して・・・」
などと言われたりします。
でも違うのです。
「時代の流れに沿い、情熱を燃やせる事業に挑戦する」
というのがブランド"邱永漢"を中心とした、
我々の奥深い核心にあたるQグループのDNAなのです。
意外に、世に認知されるブランドイメージとその物、人の本質との間には
ギャップがあるのかもしれませんね。
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