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52. 最強の人財育成術〜名医は顔が薬〜

いろいろな経験をしながら人の育成と奮闘しているわけですが、
結局のところ一言で言うと、
"人のやる気(モチベーション)をいかに刺激するのか?"
が人財育成の極意です。

このことを思ったのは、以前、友人が私に聞いた質問がきっかけでした。
「金さん、なんでそんなに一生懸命働くんだ?」
彼は会社を何社ももつ友人で、
一生懸命に働く私の姿をみて、なぜそんなに一生懸命になれるのか?
ということについて常々聴きたいと思っていたとのことでした。

私は、
・自分にとっては人生をかけて中国にやってきたこと
・日本での職、社会保険、税金、なにからなにまで
 日本に帰らないことを前提に整理してきたので背水の陣であること
・今は雇われ社長であっても、
 自分が成果を出していけば大きなチャンスがあると信じていること
・邱先生と働くことで夢が膨らむこと
等々の説明をしました。

彼は、一言、
「そうか、俺は従業員に金をやり、邱先生は自分の弟子たちに夢を与えているのか。」
彼がそうまとめたことで、自分でも、
「夢があるから、苦しくても働けるのか。」
と改めて認識したのでした。

「夢」
振り返って、ここ2・3年を振り返って私のやる気が一番高まったのは、
決まって邱先生に会った後です。

邱先生と会うと、次々と新しいアイディアと事業のネタが溢れ出てきます。
先生と会って、そういった話を聞いているうちに、
「よーし、こりゃまたがんばらないとなぁ〜」という気持ちに不思議となるのです。
(私はこのことを勝手に"Q'sマジック"と呼んでいます。)

そんなことを考えているうちに、もうひとつの話を思い出しました。

私にひとり医者の友人がいて、
彼は学生時代から非常に優秀で、なおかつ努力家でした。
数年前、彼がちょうど30歳そこそこのころ久しぶりに会って話を聞いてみると、
なにやら悩んでいる風でした。

「いやー、患者さんってさ、俺がいくら最新の医学を勉強して、
エヴィデンス(医学的証拠)に基づいて最良の治療方法を提案しても
聞いてくれない人が多いんだよな。
彼らは、医者は年取っていて経験積んでるほうが絶対的にいいと思っているんだよ。
先日も、どう考えても100%手術したほうがいいっていう患者さんがいて、
あらゆるエヴィデンスを見せて説明をしたんだけど、どうしても納得してくれなくて・・・。

ところがさ、うちの病院に名医と言われているおじいちゃん先生がいるわけ。
その先生なんか、俺から見ると最新の医学知識なんかないし、あんまり勉強してない。
でも、その先生が病室に入ると、部屋の雰囲気ががらっと変わってさ。
それで、その手術をしたくないと言う患者さんのところにいって、
『え?手術しないの?じゃあ、あなた死にたいのね?え?死ぬの?やるの?』
って一言で手術を納得させちゃうんだよ。
はたで見ていてそりゃないだろ、と思うんだけど、結果的にはうまくいってるんだよ。
その先生がどうですか?って少し患部をさするだけで
具合がよくなる患者さんもいるぐらいだから。」

彼曰く、"名医は顔が薬"なんだそうです。

なるほど、最強の人財育成術のツボは"リーダーの顔"ですね。


2008年3月17日(月) <<前へ  次へ>>