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16.愛国心
私の親友で上海人のファッションカメラマンがいるのですが、
彼は大学時代とプロカメラマン時代を含め
10年近くをシンガポールで過ごしました。
カメラマンとしての仕事も順調で、
このままいけば
シンガポールでかなりのステータスを得る事ができたのに、
去年の10月、突然全ての仕事を切り上げて上海に戻ってきました。
もちろん上海での仕事はゼロでコネもなく、
自分の資金でスタジオを借りて、プロカメラマンとして
また1から再スタートしました。

私はなぜ全てを捨てて上海に戻って来たのか不思議でした。
彼に尋ねると「だって僕は中国人だから。」と答えたのです。

他にも私の友人でカフェを経営している安徽省出身の女性がいます。
彼女は英国人男性と結婚しているのですが、
彼が英国で暮らそうと何度も言っているにもかかわらず、
彼女は断固として断り、今も上海にいます。
彼女も理由は同じで
「私は中国人で中国を愛しているから」と言っていました。

おかげで今彼は、
大きな休みの度に上海に来る生活を送る羽目になっています。

ジェッキー・チェンの息子ジェイシー・チャンが米国籍を取得せず、
中国籍を取得した際にジェッキーが
「やはり中国人だ。祖先の事を考えるものだよ。
落ち葉は木の根に戻るという事さ。」
という発言がありました。

彼らのような多くの中国人の故郷を思う気持ちが、
また一段と中国を大きくするのではないかと思い、
果たして自分は愛国心故に
同じような行動がとれるのかと考えさせられてしまいました。
今自分にできることは日本から離れた場所から日本を感じて、
自分の仕事の中で日本を表現できる人間になりたいと思います。


2009年2月4日

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