■柳田洋・北京からの画像便り No.425
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中国製BMW
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以前の中国では宝馬(ばおまー、BMW)と言えば、
高級車の代名詞でした。
なぜならWTO加盟前の中国では、
輸入自動車に100%の関税がかけられており、
BMWは日本円にして
2,000万円ぐらいで売られていましたので、
本当の金持ちでなければ買えなかったのです。
しかし、2003年にBMWグループが、
遼寧省瀋陽の華晨汽車と合弁で中国製BMWを
生産し始めてから、BMWの位置づけは一変しました。
写真はその華晨汽車との合弁工場で生産された
華晨宝馬のBMWですが、
高級車の代名詞・BMWの後姿に、
「華晨宝馬」の漢字4文字が入るだけで、
かつてのアウディがそうであったように、
中国でのBMWのイメージは、
トヨタやGMなど、他の外国メーカーの合弁車と
大して変わらないものになってしまいました。
中国のBMWのオーナーの中には、
ドイツ製の輸入BMWに見せかけるために、
「華晨宝馬」の表示を取ってしまう人もいるようです。
ドイツ製のBMWと中国製のBMWでは、
そのステータスが全く違うのです。
ただ、この中国製BMW「華晨宝馬」、
大いに売れているようで、
瀋陽の工場は増産に次ぐ増産、
街でもよく見かけるようになってきました。
しかし、今後、販売台数が増えるに従って、
BMWのイメージは「あこがれの高級車」から
「誰でも乗れる車」に落ちていくことが予想されます。
車はたくさん売りたい。
しかし、ステータスは保ちたい。
BMWはこうしたジレンマを抱えながら、
中国事業の舵取りを
していかなければならないのです。
撮影日:2010年12月5日(日)
撮影:柳田洋
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