■柳田洋・北京からの画像便り No.366 ■


出口専用原料使用

先日、山東省で日本企業が作っている
さきいかを買ったのですが、そのパッケージに
「出口専用原料使用」と書かれていました。
「出口(ちゅうこう)」とは輸出のこと。
要は「輸出用の原料(いか)を使っているので、
国内用の原料を使っている他社製品より
品質が良くておいしいんですよ」という
売り文句です。
中国の人たちに対しては失礼千万な話ですが、
今の中国では「輸出用=品質が良い」、
「国内用=品質が悪い」というのは
人々の常識になっています。
これはさきいかに限った話ではありません。
北京の街には「外貿(わいまお)」と書かれた
洋服屋さんがたくさんありますが、
これらは品質の良い輸出用衣服の
横流し品を売る店です。
世界の工場としてその製品の品質を
高めてきた中国の製造業。
しかし、そうした品質の良い製品は
ことごとく輸出に回され、国内に出回るのは
品質の悪い二級品、というケースが多いようです。
しかし、今後、中国の人たちの購買力が高まり、
輸出より国内向けの方が高く売れるようになれば、
品質の良い製品は
国内向けに回されるようになるでしょう。
中国産さきいかのパッケージに売り文句として、
「国内専用原料使用」という文字が
印刷される日が来るのも近いのかもしれません。

撮影日:2009年10月27日(火)
撮影:柳田洋


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