■柳田洋・北京からの画像便り No.359 ■


ハンコ、証明書、領収書、作ります
地下鉄の車内に挟んであった名刺です。
「ハンコ、証明書、領収書、作ります」と
書いてあります。
一見、何の変哲もない業務内容ですが、
全て捕まればかなりの重罪になる違法行為です。
まず、ハンコは会社の公印の偽造です。
中国にはサインの文化はなく、
会社の契約書などには会社設立の際に、
公安局指定のハンコ屋で作ってもらった公印を押します。
このため中国の会社は公印の管理には
細心の注意を払っています。
逆に言えばこの公印を偽造すれば、
会社名義でカネを騙し取ることなど簡単にできます。
次の証明書は、身分証明書の偽造です。
中国の人たちは1人1枚身分証明書を持っており、
何をするにもこの身分証明書の提出を要求されます。
これを偽造して他人になりすませば、
かなり悪いことをしても
しっぽを切って逃げることができます。
最後の領収書は、文字通り領収書の偽造です。
中国の領収書は
日本と違って文房具屋では売られておらず、
税務署発行の領収書に
税務署直結のプリンターで印刷する必要があります。
これを偽造して客に渡せば、
会社は脱税が可能になりますし、
サラリーマンは会社のカネを横領することもできます。
中国ではこうしたものの偽造は、
国家システムを脅かす行為、と捉えられ、
かなりの重罪になると聞きます。
みなさんが中国でビジネスをする場合には、
間違ってもこうした違法業者に
電話をしたりしないよう気をつけてください。

撮影日:2009年8月30日(日)
撮影:柳田洋


前 へ 閉じる 次 へ