■柳田洋・北京からの画像便り No.152 ■


弁証

北京の街を歩いていると、そこかしこにマジックで
携帯電話番号とともに、「弁証(ばんぢょん)」という文字が
書かれているのを目にします。
「弁証」とは、直訳すると「証明書作ります」という意味。
といっても、行政書士ではありません。
これは身分証明書や卒業証書のニセモノを作る
弁証屋の宣伝です。
ニセモノの証明書を作るのは、中国でももちろん違法です。
以前は、道端で「弁証、弁証」と独り言を言っている人が、
弁証屋だったのですが、それでも捕まるらしく、
最近は、足がつかないように、
プリペイド式の携帯電話を買って、
そこらじゅうにマジックで、携帯電話番号を書いて、
客から電話がかかってくるのを待つ、
というスタイルに変わってきています。
弁証屋のお客さんは、外地から出稼ぎに来た人などです。
彼らは北京で就職活動をするのですが、
北京の戸籍や一定の学歴がないと、
なかなかまともな職業につけません。
そこで、こういう弁証屋に頼んで、
ニセの身分証明書や、
ニセの卒業証書を作ってもらうのです。
弁証屋の存在は、中国が、戸籍や学歴で差別される、
差別社会であることの証左なのです。

撮影日:2005年9月10日(土)
撮影:柳田洋



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