第1501回
日中ネット販売相互乗り入れの終焉

明日5月17日で、「ヤフーチャイナモール」と
「淘日本」のサービスが終了します。

2010年6月に開始したこの2つのサービスは、
日本の「ヤフーショッピング」と
中国の「淘宝網」の相互乗り入れで、
両国の仮想商店街に出店するネット店舗のマーケットを
大きく海外に広げるものとして注目されましたが、
2周年を迎えることなくその役割を終えることとなりました。

私は相互乗り入れ開始直後に、
両サイトでお買い物をしてみようとしましたが、
その当時から短命を予感させるものはありました。

1つは送料の高さ。

これは、
第1199回  「日中ネット販売相互乗り入れの問題点」
で指摘しているのですが、
150元(1,950円)のエコ箸を買うのに、
送料が同額の150元かかってしまいます。

これは日本からEMSなどの国際宅配便で送るため
こんな高額の送料になってしまうのですが、
淘宝網で買えば上海でも深センでも
10-15元(130-195円)の送料で送られてくることを考えると、
「2倍の金額を払ってでも日本のモノが欲しい!」
というごく限られた人しか、
お買い物をしないのではないかと思います。

2つ目は翻訳のまずさ。

これは、
第1200回 「なんじゃこりゃ!?「ヤフーチャイナモール」の日本語訳」
でお話しましたが、
両サイトとも商品の説明が
自動的に機械翻訳されていますので、
せっかくの説明が意味不明になってしまっています。

ネット販売でモノを買う人は、
実店舗と違って売り手が目の前にいないので、
ただでさえ「だまされたらどうしよう」
という不安を持っています。
このため、ネット店舗の店主は、
実店舗で売る以上に商品の説明を丁寧にして、
消費者の不安を払拭する必要があります。

であるにも関わらず、
その肝心の商品の説明が意味不明では、
信用しろという方が無理な話です。

これらの問題を解決して、
日本企業が中国でネット販売を成功させ、
中国市場を開拓するためには、
まずは商品を1つ1つ日本から発送するのではなく、
予め大量の商品を日本から運んできて
中国国内の倉庫に在庫し、
オーダーが入ったらそこから
中国の宅配便で発送する必要があります。
そうすれば、150元のエコ箸を買うのに、
150元の送料を払うこともなくなるのではないかと思います。

そして、もう1つは、
商品の説明を日本語の翻訳ではなく、
中国の消費者の買う気のツボにはまるような説明を
一から作ることです。
日本人の買う気のツボと中国人の買う気のツボは
違うところにあります。
機械翻訳などもってのほか、
ネット店舗の命とも言える商品説明は、
多少手間がかかっても
心血を注いでやらなければなりません。

私は今、こうした問題を解決できるサービスを
日本企業のみなさんに提供するべく検討を重ねています。

満足できるものが出来上がった暁には、
改めてみなさんにご紹介しますが、
このサービスにより多くの日本企業が
ネット上で中国市場を開拓し、
労働力人口の減少と高齢者の増加に苦しむ日本を
微力ながら助けることができれば、と思っています。


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2012年5月16日(水)

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