第1454回
昨年の中国の世相を表す漢字一文字は?
昨年の日本の世相を表す漢字一文字は「絆」でした。
3月に発生した東日本大震災により、
被災者の方々だけではなく、
他の多くの日本人が家族や友人との絆を
再確認した1年となりました。
では、昨年の中国の世相を表す漢字一文字は
何だったのでしょうか?
中国の人気週刊誌「南方人物週刊」は、
「翻(ふぁん)」という漢字を選びました。
翻とは「ひっくり返る」という意味です。
同誌はこの漢字を選んだ理由として、
浙江省で高速鉄道が衝突し、
車体が「ひっくり返って」高架から落ちてしまった事故や、
甘粛省でスクールバスが大型トラックに激突して
「ひっくり返った」事故などを挙げました。
また、同誌は上記の事故の際に、
当局の批判などで大きな存在感を示した
微博(うぇいぼー、マイクロブログ)を
「既存の秩序を「ひっくり返す」
新しいメディア」として評価、
その台頭も昨年の漢字に「翻」を選んだ
理由の1つであるとしました。
あまり「ひっくり返る」「ひっくり返る」と言うと、
中国共産党の指導者たちは国家の転覆を連想して、
いやーな気分になるかもしれません。
しかし昨年は、上記の高速鉄道やスクールバスの事故対応、
微博による「ネット民主主義」の台頭などを見ていて、
今まで磐石だと思っていた中国共産党の一党独裁体制が、
もしかすると本当に「ひっくり返って」しまうかもしれない、
と思わせるような1年でした。
結党から90年。
今までたくさんの危機を乗り切ってきた中国共産党ですが、
今、同党は過去最大の危機を迎えていると言っても
過言ではありません。
中国共産党の敵は、古くは国民党、日本軍、アメリカ、ソ連、
最近では民主化勢力、独立勢力、法輪功などいろいろといましたが、
今、中国共産党が敵に回しそうになっているのは
13億人の国民です。
さすがの中国共産党も13億国民に「ノー」を突きつけられたら、
ひとたまりもありません。
そして、13億国民に「ノー」を突きつけられて、
一党独裁体制を「ひっくり返される」かもしれない
最大の原因を作っているのは、ほかでもない
権力を濫用する腐敗した共産党員なのです。
中国共産党中央はこの結党以来最大の危機を乗り切るべく、
自ら民主化を推進したり、党の権力構造を透明化したり、
住民サービスを充実したりと様々な取り組みを始めていますが、
そうした改革が中国全土の隅々にまで行きわたり、
田舎の腐敗党員の意識を変えるまでに至るには、
まだまだ時間がかかりそうです。
「今年は中国共産党の一党独裁体制が
「ひっくり返り」ましたので、
今年の漢字は2年連続で「翻」となりました」。
今年の年末にそんなニュースを流されないためにも、
中国共産党は自己改革に待ったなしで
取り組まなければならないのです。
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