第1420回
高利回りのヤミ金投資
年率240−360%の金利を取る非合法のヤミ金。
日本ではヤクザが自己資金を貸し出しているものと思いますが、
中国では堅気の企業や個人が、高利回りの投資先として
いくらでも資金を投資してくれるようです。
今、中国ではインフレにより、
CPI(消費者物価指数)上昇率が前年同月比6%台で
高止まりしているのに対し、
銀行の預金金利は1年ものの定期預金で年率3.5%と
完全な逆ザヤ状態となっています。
このため、おカネを持っている企業や個人は、
現金で持っていてはもちろん、
銀行に預けてもどんどん目減りをしていってしまいますので、
高利回りの投資先を鵜の目鷹の目で探しています。
しかし、株は全然ダメ。
不動産も中国政府の不動産価格抑制政策の効果により
下落に転じていますので、
適当な投資先が見つからないのが現状です。
そこでクローズアップされているのが、
最近、資金需要が旺盛な「ヤミ金」です。
ヤミ金は銀行や合法的な民間金融会社からは借りられないような
財務状態の悪い中小企業や個人に無担保でおカネを貸しますので、
夜逃げされて回収できなくなるリスクは高いですが、
運良く貸したおカネが返ってくれば年率240−360%、
手数料と貸し倒れ引当金として
ヤミ金業者に半分取られたとしても
年率120−240%の高利回りが期待できます。
こんな高利回りの投資先は、今の中国ではなかなかありません。
中には銀行の融資金利が1−3年もので年率6.65%と
ヤミ金投資で期待できる利回りと比べると
はるかに低いことに目を付け、自己資金だけではなく、
銀行から融資を受けてヤミ金に投資して、
その金利差のサヤ取りをする人もいるようです。
この場合、銀行に対して
「ヤミ金に投資する」と正直に申告してしまっては、
絶対に貸してくれませんので、
個人は生活資金、企業は設備投資や運転資金などの名目で、
所有不動産を担保に入れて融資を受けるようです。
こうした銀行融資からヤミ金に流れているおカネは、
既に3兆元(36兆円)に達している、と言われています。
そしてこの他にも利回りの良い投資先がなくて困っていた
中国国内の資金に余裕のある企業や個人の手持ちの資金や、
規制の網をかいくぐった海外からのホットマネーも
ヤミ金業界に流入しているようです。
この「明らかに返済能力の無い相手に
高金利でおカネを貸し出し、その高金利を目当てに
だぶついていたたくさんの資金が集まってくる」
という構図は、世界的な金融危機を引き起こした
アメリカのサブプライムローンとそっくりです。
もしかすると、第二次世界金融危機は、
中国のヤミ金から始まるのかもしれません。
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