第1419回
ヤミ金対策に温家宝首相出動!

今、中国では温州に限らず、
中小企業が経営環境の悪化と
中国政府の金融引き締め政策により資金繰りがつかず、
会社を存続させるために金利が異常に高い
高利貸(がおりーだい、高利貸し)から
おカネを借りるケースが続出しています。

現在、中国の銀行の貸し出し金利は
1−3年もので年率6.65%。
民間の金融サービス企業はその4倍、
すなわち年率26.6%まで金利を取って良いことになっていますが、
資金繰りの悪化した中小企業におカネを貸してくれるのは、
月利で20−30%、年率では240−360%の金利を取る、
非合法のいわゆるヤミ金しかないようです。

年率240−360%の金利など、
まともな商売をやっていたら払えるわけがないのですが、
人間、追い詰められて、
「カネが回らず会社は明日にでも潰れる。
だが、目の前にカネを貸してくれる人がいる」
という状況になると、
正常な判断ができなくなってしまうんですな。
その気持ち、よーくわかります。

しかし、そんなことをして
数週間、数ヶ月、会社を延命できたとしても、
症状は更に悪くなっているわけですから、
早晩、会社は資金繰りに行き詰まり倒産、
老板は借金を返せずに夜逃げ、
ということになっているのです。

中国の中小企業をここまで追い詰めた
大きな原因の1つは中国政府の金融引き締め政策です。

中国政府はインフレのため前年同月比6%台で高止まりする
CPI(消費者物価指数)上昇率を抑えるために、
銀行に対しこれ以上人民元を市中にあふれさせないよう
融資の削減を指示しました。
各銀行は融資枠の上限を決められてしまったために、
限られた資金を優良顧客である
大規模国有企業に優先的に融資、
一方で民間中小企業に対しては
貸し渋り、貸し剥がしを行ったのです。

営利追求と債権保全のためとは言え、
その多くが国有であるにも関わらず、
揃いも揃って明らかに社会の安定を脅かすような、
反社会的な行動に出た中国の銀行のバカさ加減には、
開いた口がふさがりません。

こうした事態を重く見た中国政府は先月、
国慶節の連休中にも関わらず温家宝首相が温州市を視察し、
金融秩序の回復と高利貸の蔓延を抑制する措置を
講じるように指示する、という異例の対応を取りました。
具体的には貸し渋る銀行などに対して、
中小企業への金融サービスを改善するよう要求、
中小企業向けの優遇政策拡大を検討する一方で、
民間金融サービスに対する監督を強化し、
リスクの拡散や蔓延を防止するよう指示しました。

不動産や資源などに対する投機にはカネを貸さないが、
本当に資金を必要としている中小企業にはどんどん貸し出す。
中国政府の金融引き締め政策も一律に資金を絞るのではなく、
そうしたきめの細やかな対応が
必要とされているのではないかと思います。


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2011年11月9日(水)

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