第1404回
中国で流行する新入社員の「電撃退職」
今、中国では新入社員の「電撃退職」というのが
流行っているのだそうです。
中国人民大学労働人事学院の周石・党委書記の調査によれば、
大学卒の新入社員のうち約30%は1年以内に退職し、
そのうち半分は自己都合の退職なのだそうです。
そうした就職1年以内の「電撃退職」の理由としては、
1.会社の雰囲気に馴染めないこと、
2.自身の能力を期待したほど発揮できないこと、
3.会社の前途に不安があること、
4.収入や待遇が不満であること、
5.仕事自体が楽しくないこと、
6.会社の厳しい要求に耐えられないこと、
7.親の意向を尊重して入社はしたが、
元々その会社には入りたくなかったこと、
などが挙げられています。
7に関しては開いた口がふさがりませんが、
他の理由を見ても、苦労知らずの
お坊ちゃん、お嬢ちゃんが多いように思います。
10年前、中国で起業して
初めて雇った大学を出たばかりの社員に、
「私はこんな仕事をするために、
大学で勉強してきたのではありません」と言われて、
悔しい思いをしたのを思い出してしまいました。
日本でも今は入社3年で
新入社員のうちの3割は辞めてしまうようで、
「若者はなぜ3年で辞めるのか?」(光文社新書)
という本がベストセラーになりました。
しかし、この本を読んでみると、
日本の若者が3年で辞めてしまうのは、
3年ぐらい働いていると
「このままこの会社にいても自分の未来はない」
ということが分かってくるかららしいです。
一方の中国の若者は入社1年以内で3割。
どう考えても、ちょっとでもイヤなことがあったら
すぐ辞めているとしか思えません。
「近頃の若者はなっとらん!」というセリフは、
5,000年前の古代エジプトの遺跡から出土した
粘土板にも刻まれていた、と言いますから、
年長者から見た若者が頼りなく見えるのは
世の常なのでしょうが、
「電撃退職」の7つの理由を見ていると、
ついこのセリフが口をついて出そうになってしまいます。
日本には「石の上にも三年」ということわざがあります。
中国の若者もイヤなことがあったらすぐ辞めるのではなく、
日本の若者のように少なくとも3年ぐらいは
同じ会社で働いてみる必要があるのではないかと思います。
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