第1382回
インフレで減る料理の量
インフレが止まらない中国。
特に食料品の価格は前年比10%以上の値上がりが続いており、
一般庶民の生活を圧迫しています。
影響を受けているのはレストランも同じです。
インフレが始まった当初は、
食材価格の上昇分を料理の価格に転嫁していたのですが、
そう何度も値上げをするわけにもいかないのか、
北京では最近、一皿の料理の量が
明らかに少ないレストランが増えてきました。
そうしたレストランでは、
お皿を小さいものに替えたり、
大きなお皿の空いたスペースに
使いまわしの花や野菜の彫刻を乗せるなど、
様々な方法で少なくなった料理の量を
お客さんに悟られないような努力をしています。
従来は中国料理と言えば、
大皿に食べきれないほどの料理が
ドサッと盛られてくるのが特徴でしたが、
最近は食材価格の高騰により一皿当たりの料理の量が減り、
どんどん「お上品」になりつつあるのです。
また、料理の量は変わらないのですが、
安い食材の比率が明らかに高い料理も増えてきました。
先日、ある四川料理のレストランで、油で川魚を煮込む
「水煮魚(しゅえぢゅゆぃー)」という料理を頼んだのですが、
洗面器のような大きな器に盛られてきた料理を食べ始めると、
魚は見えている表面の一層のみ、
その下は全てもやしで埋め尽くされていました。
その他にも鶏肉とピーナツの比率が1:9ぐらいの
「宮爆鶏丁(ごんばおじーてぃん)」、
たまねぎとピーマンばかりで豚肉がなかなか見当たらない
「回鍋肉(ほいぐおろう)」などなど、
安い食材の方が極端に多い料理が増えています。
確かに、レストランの側からしてみれば、
同じ利益率を確保するのでも、値上げをするより、
量を少なくしたり、安い食材を多くしたりする方が
短期的には消費者に与える悪いイメージも
少なくて済みそうです。
しかし、長期的に見れば、
そうした料理の量や質のブレは、
そのレストランの信用をゆっくりと、
しかし、確実に蝕んでいくのではないかと思います。
中国のレストラン業界のみなさんは
非常に苦しい時期かとは思いますが、
こういう時にこそぜひごまかさない、
誠実な商売をして頂きたいものだと思います。
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