第1381回
中国で深刻化する人手不足
中国で人手不足が深刻化しています。
中国人的資源市場情報監測センターによれば、
今年第1四半期の全国101都市の求人倍率は1.07と、
リーマンショック前の好景気に沸いた
2007-2008年の0.98を上回り、
過去最高を記録したのだそうです。
中でも技術工の不足は深刻で、
高級技師の求人倍率は1.89、
技師は2.19に達しているそうです。
また、中国では最近、
若年層で単純労働を敬遠する傾向が強まり、
普通工も実際にはかなりの人手不足に
陥っているようです。
かつての「世界の工場」の中心地、
広東省の珠江デルタ地域では、
1.電器製造、2.機械加工、3.服飾・製靴の
3業種で特に人手不足が深刻化しており、
調査を受けた企業の実に90%が
「労働力不足に直面している」と
回答したのだそうです。
求人倍率が1を超える、ということは、
理論的には求職者が選り好みをしなければ、
全員が何らかの職に就け、
失業率がゼロになることを意味します。
数年前までは
「農村部に無尽蔵の余剰労働力を抱えている」
と言われていた中国ですが、
アッと言う間に余剰労働力が底を突いてしまった、
という感じです。
中国ではなぜこんなに人手不足になっているのか?
中国政府のシンクタンク・中国社会科学院の
人口・労働経済研究所によれば、
経済成長の伸びに労働力の供給が
追いついていないことが最大の原因である、
とのことです。
また、今まで労働力の供給基地としての
役割を果たしてきた内陸部が、
好景気によって自ら大量の労働力を
必要とするようになってしまったことも、
中国全体の人手不足に拍車を掛けているのだそうです。
そして、中国人口学会によれば、
中国の15-59歳の労働力人口は2011-15年にピークに達し、
その後は減少に転じるとのことですので、
人手不足は今後、更に深刻化することが予想されます。
この人手不足問題を解決するためにはどうしたら良いのか?
経済成長の速度を緩めれば、
一時的には人手不足は解消するかもしれません。
しかし、そうすると今度は、
今後年間800万人のペースで増え続け、
2015年には2億人を突破すると言われている
高齢者を養うことができなくなってしまいます。
となると、中国政府は
経済成長を続けながら人手不足を解消するという
非常に難しい舵取りを迫られることになります。
解決方法としては、
1.機械化、自動化で単位生産当たりの必要労働力を減らす
2.産業を高付加価値化して、
労働者1人1人が生み出す付加価値を上げる
3.60歳以上の高齢者にも働いてもらう
4.外国から労働者を受け入れる
などの方法があると思われますが、
実際には、こうした方法を総動員して、
経済成長を続けながら人手不足を解消するという難題を
何とか解決していくしかないのではないかと思います。
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